測距儀は距離計の一種で,主として測量に用いる。対象点の方向と基線とから三角法で求める光学的なもの,電波または光を送り,反射して戻ってくるまでの時間を測定して距離を求める電磁的なものなどがある。後者のうち電波を用いるものを電波測距儀といい,光を用いるものを光波測距儀,これらを総称して電磁波測距儀という。電波測距儀は第2次世界大戦中,軍事用の電波探知器またはレーダーとして開発された。レーダーは長方形波を送るもので,パルスとして送るものがパルスレーダーである。発射パルスと反射パルスとの時間差から距離を求める(図)。そこではパルスの幅と形によって精度が決まり,数十mの誤差はまぬがれない。レーダーの精度を向上させたものが電波測距儀で,搬送波を精度の高いサイン波の信号周波数で振幅変調して送り,発射波と反射波の位相差を測定する。この位相差は波の端数で,戻ってくるまでの距離の間に何山の変調波が入っているかは不明である。パルスの場合も同様で何個のパルスが入っているかわからない。波の数すなわち整数を知るために,1kHzから15MHzまでの間の異なった近い周波数を組み合わせた電波で周波数の差を求め,次第に大きい周波数の差をもつ電波へと測定を繰り返す。電波の整数と端数とから距離を求める。光波測距儀は1950年ころから市場に現れたスウェーデンのジオジメーターが先駆である。光波測距儀では,電気光学的効果,すなわち電界を与えたときに複屈折の現象を示す結晶体であるリン酸カリウムや液体の二硫化炭素,ニトロベンゼンなどを封じ込めたケルセルを用い,それに10~30MHzをかけて光を変調して送る。測定すべき点には反射鏡を置く。発射光と反射光の変調波の位相を測定する。これは電波測距儀と同様である。電波測距儀は50~60kmくらいまでの距離測定に用いられ,光波測距儀では昼1~4kmまで,夜10~20kmまで,レーザーを用いたものでは昼間でも40~60kmの距離の測定ができる。電波測距儀では電波のひろがりがあるので,市街地,森林地帯では測定が困難であるが,光波測距儀では容易である。電波測距儀の精度は2~3cm+3L×10⁻6くらい,光波測距儀の精度は5mm+L×10⁻6くらいである。ここでLは測定距離である。500MHzの高い周波数で変調した光波測距儀で40mの測定で0.03~0.1mmの再現性を示すものもある。
→距離計
執筆者:沢辺 雅二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
対象物までの距離を光学的方法によって測定する器械で、おもに土地や建造物を測定するものをさす。従来は三角測量の原理を用いるもの(距離計)が主であったが、1990年代に入り、対象地点に置いた反射鏡までレーザー光線を往復させ光が往復する時間から距離を精密に測定する装置が開発され、レーザー測距儀とよばれている。
[三井清人]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…(4)音,光,電波などを送り,反射して戻る伝搬時間から求める方法。そのうち,測量で電磁波やレーザーを用いて長い距離を求める装置を測距儀と呼んでいる。 カメラの焦点合せには上の(2),(3)および(4)の距離計のほか像のコントラストを検出する方法を用いている。…
※「測距儀」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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