日本大百科全書(ニッポニカ) 「湯之谷」の意味・わかりやすい解説
湯之谷
ゆのたに
新潟県中東部、北魚沼郡(きたうおぬまぐん)にあった旧村名(湯之谷村(むら))。現在は魚沼市の南東部を占める地域。2004年(平成16)堀之内(ほりのうち)町、小出(こいで)町、広神(ひろかみ)村、守門(すもん)村、入広瀬(いりひろせ)村と合併して市制施行、魚沼市となる。旧村域は、東部を福島県と、南部を群馬県と接し、銀山山地(ぎんざんさんち)と佐梨川(さなしがわ)の谷を占める広大な山村で、南端は尾瀬を含む。国道17号、352号が通じる。1692年(元禄5)高田藩の上田銀山(うえだぎんざん)が開発され、鉱山町が繁栄し、小出まで銀山八宿が定められ、大湯、栃尾又(とちおまた)はその温泉宿場町で栄えたが、銀山平は近代になって銀山衰退後、出作(でづく)り山村に変わった。1953年(昭和28)から奥只見電源開発事業(おくただみでんげんかいはつじぎょう)が始まり、銀山湖(奥只見湖)、奥只見ダムができ、電源開発トンネル輸送路もシルバーラインとよぶ観光道になり、一大観光地に変わった。越後三山只見国定公園(えちごさんざんただみこくていこうえん)に属し、大湯、栃尾又のほか折立(おりたて)・駒の湯(こまのゆ)温泉などがあり、湯之谷温泉郷を形成する。スキー場、キャンプ場にも恵まれ、多くの観光客を集めている。
[山崎久雄]
『星野徳市郎編『藪神庄湯之谷郷』(1970・湯之谷村)』