湯沐(読み)トウモク

デジタル大辞泉 「湯沐」の意味・読み・例文・類語

とう‐もく〔タウ‐〕【湯×沐】

湯を浴びて、髪を洗うこと。ゆあみ。
「―の風姿婀娜たるを窺い」〈東海散士佳人之奇遇

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精選版 日本国語大辞典 「湯沐」の意味・読み・例文・類語

とう‐もくタウ‥【湯沐】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 湯をあび、髪を洗うこと。湯でからだを洗って清めること。ゆあみ。
    1. [初出の実例]「頭一人。〈掌供御輿輦。〈略〉帷帳。湯沐。洒掃殿庭。〈略〉等事〉」(出典令義解(718)職員)
    2. [その他の文献]〔淮南子‐説林訓〕
  3. 令制で、皇后・東宮に支給された食封(じきふ)の称。湯沐の料を負担するもの。なお、「日本書紀」天武天皇条に「湯沐令(ゆのうながし)」「湯沐邑(とうもくのゆう)」等が見える。
    1. [初出の実例]「中宮湯沐。二千戸」(出典:令義解(718)祿)

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改訂新版 世界大百科事典 「湯沐」の意味・わかりやすい解説

湯沐 (とうもく)

古代皇太子および中宮に対する資養のために諸国におかれた経済制度。令制では臣下に対する封戸(ふこ)と同様のものらしく,《延喜式》では〈東宮湯沐二千戸〉とみえ,令制では〈中宮湯沐二千戸〉がみえる。東宮の場合は,令制には〈東宮一年雑用料〉とあり,あるいは《延喜式》にみえるまでに制度的変遷があったのかもしれない。また《日本書紀》の壬申の乱に際しての記事の中に湯沐の役人の湯沐令(とうもくのうながし)がみえ,軍事指揮者のような側面もあるので,湯沐にはそのような兵の差発権などをもっていた可能性がある。またこの記事から,湯沐の制度は大宝令制施行以前に存在したことが明らかである。古くは名代・子代(なしろこしろ)等に系譜をひくもので,7世紀中葉に名代・子代が廃止されるにしたがって設定されたものと思われる。壬申の乱に際して活躍した湯沐令の場合は,大海人(おおあま)皇子への湯沐であったと思われ,湯沐令と皇子とのあいだには密接な関係が存在していたものといえる。
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普及版 字通 「湯沐」の読み・字形・画数・意味

【湯沐】とう(たう)もく

湯あみ。沐は髪を洗う。湯沐の料として賜わる邑。〔礼記王制〕方伯、天子するが爲に、皆湯沐の邑り。

字通「湯」の項目を見る

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