コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

湿舌 しつぜつmoist tongue

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

湿舌
しつぜつ
moist tongue

比較的乾燥した気団の中に湿った空気が楔状に侵入する現象。天気図上で湿度の分布を描くと,湿った部分が舌のような曲線で描かれるため,湿舌と呼ばれる。特に湿舌が問題になるのは梅雨の時期で,亜熱帯の海上の広い範囲から湿った空気が梅雨前線付近に集められ,九州西方から日本列島に沿って延びる湿舌が形成され,多量の降雨をもたらす。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について | 情報

知恵蔵の解説

湿舌

大気の中層下層で、水蒸気の多い湿った空気が、舌のように細長く帯状にのびた領域。高度約1.5kmの高層天気図で、低気圧前線付近に湿舌が進入すると大雨が降りやすい。

(饒村曜 和歌山気象台長 / 宮澤清治 NHK放送用語委員会専門委員 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について | 情報

デジタル大辞泉の解説

しつ‐ぜつ【湿舌】

天気図上で、暖かい湿った気流舌状に進入している部分。前線などと結びついて大雨を降らせる。

出典|小学館デジタル大辞泉について | 情報 凡例

百科事典マイペディアの解説

湿舌【しつぜつ】

梅雨末期などに大雨の降る時の天気図を調べてみると,本州沿いの前線の南側に水蒸気を多量に含んだ気流が舌状に流入している場合が多い。これを湿舌という。
→関連項目集中豪雨

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて | 情報

とっさの日本語便利帳の解説

湿舌

天気図上で、水蒸気量の多い気流が舌状に侵入している部分。この付近では大雨の降ることが多い。

出典|(株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について | 情報

世界大百科事典 第2版の解説

しつぜつ【湿舌 moist tongue】

とくに梅雨期に南方より水蒸気を多く含む暖かい気流体が,天気図上でみると,大気の下層に舌状になって流れこむことがあり,これをさしていう。集中豪雨の可能性の予測に重要で,上層に寒気があると不安定になり,大雨が降る。梅雨【内田 英治】

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

大辞林 第三版の解説

しつぜつ【湿舌】

天気図上で、水蒸気を多量に含む気団が舌状に張り出している部分。梅雨前線の南側に現れ、しばしば大雨を降らせる。

出典|三省堂大辞林 第三版について | 情報

知恵蔵miniの解説

湿舌

水蒸気を多量に含む温かい気流(湿暖流)が限られた領域に流れ込む現象。日本では主に、低気圧の通過などに伴い梅雨前線の南側沿い、大気の下層に湿暖流が流れ込んだ状態を言う。天気図の等圧線で見ると、東シナ海方面から日本にかけ細長く舌のような形となるため、この名がついた。湿舌が現れると積乱雲が発生し、特に湿舌の先端付近では猛烈な集中豪雨となりやすい。「姿なき台風」とも呼ばれる。

(2013-6-21)

出典|朝日新聞出版知恵蔵miniについて | 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

湿舌
しつぜつ

天気図のある面で湿った大気が、ある方向に舌状に伸びている部分。通常、等高度面または等圧面についていう。湿舌は、混合比、比湿、露点温度、相当温位、気温と露点の差など、大気中の水蒸気量または湿潤状態を示す物理量の等値線を引くと、それが舌状となって現れる。850ヘクトパスカル、700ヘクトパスカル面天気図上で湿舌が検出され、その方向に流れる下層ジェット気流を伴うときは、その近傍で集中豪雨が降りやすい。なお、乾燥した舌状の部分を、湿舌に対して乾舌ということがある。[倉嶋 厚]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

世界大百科事典内の湿舌の言及

【集中豪雨】より

…台風による地形性の大雨などとは異なって,平野部で10~50km2ぐらいの地域に限って被害が出ることが多い。気象学的には,北から南下した上空の寒気の下に南からの暖かい湿った空気が流入して(天気図上では湿舌を示す),大気の成層が不安定となって激しい対流が発達したときに起こり,たいていは雷を伴う。小河川のはんらんによる災害も起こるが,もっとも恐ろしいのは,山すそなどでの鉄砲水や山腹崩壊,土石流などによる被害である。…

【日本列島】より

…6月末から7月半ばごろにかけては,梅雨前線が本州を横切ったり日本海岸沿いに走るようになり,梅雨末期の集中豪雨のシーズンとなる。暖湿な空気が舌のような形(湿舌(しつぜつ))で前線に流れ込むと集中豪雨が降りやすくなる。一方,梅雨型の気圧配置が長く続くと,オホーツク海高気圧から吹いてくる北東の冷湿風(〈やませ〉という)が東北地方を中心に流れ込み,冷害のおそれがでてくる。…

【梅雨】より


[集中豪雨]
 梅雨末期(6月末~7月上旬)の集中豪雨は次の理由で起こる。下層の700~800hPa(高度3000m以下)に下層ジェットという強風域が舌状に南西から侵入し(これを湿舌と呼ぶ),これが高温多湿であり,水分を十分日本に運ぶ役目をする。しかるに上層5000m以上では,北西風が冷涼な乾いた空気を運んでくる。…

※「湿舌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

湿舌の関連キーワード暖湿流

今日のキーワード

存亡の機

引き続き存在するかここで滅びてしまうかという非常に重大な時。存亡の秋(とき)。...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android