満城漢墓(読み)まんじょうかんぼ

日本大百科全書(ニッポニカ)「満城漢墓」の解説

満城漢墓
まんじょうかんぼ

1968年、中国、河北省満城県の西部、陵山の山頂近辺で、人民軍兵士が発見した漢代の古墓。第1号武帝の兄、中山王の劉勝(りゅうしょう)、第2号墓はその妻、竇綰(とうわん)を葬っている。第1号墓は入口に二重の壁をつくって、その間に融鉄を流し込んで固めていた。墓室の入口には耳室が左右に配され、中室、後室も備わっている。入口から51.7メートルの地点に棺が置かれていた。壮大な宮殿という趣(おもむき)がある。副葬品も数多いが、なかでも金縷玉衣(きんるぎょくい)は逸品である。小さい玉札を綴(つづ)って頭から足まで覆う皇帝、貴族の葬服である。玉は軟玉に属するネフライトで、新疆(しんきょう)から運んだものであろう。墓の内部は現世の生活そのままに日用品などが数多く埋葬されていた。銅器では、「楚(そ)大官糟鐘(そうしょう)」は酒壺(さけつぼ)であるが、これは呉楚七国(ごそしちこく)の乱(前154)の劉戊(りゅうぼう)のものを没収し、改めて勝に与えたと考えられる。「長信宮燈」は銘(めい)に陽信家とあり、陽信侯劉楬(りゅうけつ)の絶家ののち、所有を転じて勝のものとなったのであろう。

[好並隆司]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「満城漢墓」の解説

満城漢墓
まんじょうかんぼ
Man-cheng Han-mu

中国河北省満城県西郊の陵山上で発見された2基の前漢の墓。 1968年に中国科学院考古研究所満城発掘隊によって調査された。いずれの墓も岩山に掘られた横穴で,墓道,中室,後室,南北耳室から成り,その奥行は1号墓は 51.7m,2号墓は 40mが計測されている。墓中には合計 2800点以上の副葬品が置かれていたが,なかでも金銀象眼鳥篆文鍾,銀玻瑠璃象眼鍍金斜格子文長楽宮鍾,金象眼雲気文博山爐,長信宮灯などは製作が精緻で,工芸水準もきわめて高いものであった。それぞれの墓中の遺体は 2000片あまりの方形の玉を金糸で綴った金縷玉衣を着装し,1号墓は中山靖王劉勝,2号墓はその妻竇綰 (とうわん) の墓と考えられている。

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デジタル大辞泉「満城漢墓」の解説

まんじょう‐かんぼ〔マンジヤウ‐〕【満城漢墓】

中国、河北省満城県にある前漢代の古墓。武帝の兄中山王の劉勝りゅうしょうとその妻の墓で、玉片を金糸で綴る金縷玉衣きんるぎょくいをまとった遺骸出土。1968年に発掘。

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精選版 日本国語大辞典「満城漢墓」の解説

まんじょう‐かんぼ マンジャウ‥【満城漢墓】

中国、河北省満城県にある前漢代の古墓。一九六八年に発掘。武帝の兄劉勝夫妻の墓で、金縷玉衣(きんるぎょくい)をまとった遺骸が発見された。

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世界大百科事典 第2版「満城漢墓」の解説

まんじょうかんぼ【満城漢墓 Mǎn chéng Hàn mù】

中国,河北省満城県城南西3kmの陵山上にある中山靖王劉勝(1号墓)と夫人竇綰(とうわん)(2号墓)の墓。1968年に発掘調査された。石灰岩岩壁をくり抜いて築いた大規模な洞室墓で,1号墓は墓道,甬道(ようどう),南北耳室,中室,後室からなり,全長51.7mある。甬道と南耳室は馬車庫,北耳室は食・飲料庫,中室は中央に鍍金帷帳を置いた庁堂で,多数の器物が並べられていた。後室は石門で区画され,内部に板石で石屋を築き,北端に棺床を設ける。

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世界大百科事典内の満城漢墓の言及

【漢代美術】より

…墓中の山岳はやはり現実の自然でなく,仙境を示すからであろう。 武帝期の大型墓には1968年,河北省満城発見の劉勝・竇綰(とうわん)墓がある(満城漢墓)。前漢の帝王陵が未調査の現在,漢朝宮廷の日常使用器物の実際をうかがう好資料である。…

【墳墓】より

…墳丘をつくらず自然の丘を利用して大規模な横穴式墓室をつくることもある。ギリシア,ミュケナイのトロス(穹窿墓(きゆうりゆうぼ))や中国の満城漢墓,唐の乾陵がその最たるものである。 墓の前に拝殿など祭祀の施設をつくることもある。…

※「満城漢墓」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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