源氏鶏太(読み)ゲンジケイタ

デジタル大辞泉 「源氏鶏太」の意味・読み・例文・類語

げんじ‐けいた【源氏鶏太】

[1912~1985]小説家富山の生まれ。本名、田中富雄サラリーマン体験を生かしたユーモアにあふれる作品人気を集める。「英語屋さん」およびその他の作品で直木賞受賞。他に「三等重役」「定年退職」「口紅と鏡」など。

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精選版 日本国語大辞典 「源氏鶏太」の意味・読み・例文・類語

げんじ‐けいた【源氏鶏太】

  1. 小説家。富山県出身。本名田中富雄。サラリーマン生活のかたわら、昭和二二年(一九四七)「たばこ娘」でデビュー。同二六年「英語屋さん」で直木賞受賞。代表作「三等重役」「定年退職」など。明治四五~昭和六〇年(一九一二‐八五

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20世紀日本人名事典 「源氏鶏太」の解説

源氏 鶏太
ゲンジ ケイタ

昭和期の小説家 日本文芸家協会理事;直木賞選考委員。



生年
明治45(1912)年4月19日

没年
昭和60(1985)年9月12日

出生地
富山県富山市

本名
田中 富雄(タナカ トミオ)

学歴〔年〕
富山商〔昭和5年〕卒

主な受賞名〔年〕
直木賞(第25回)〔昭和26年〕「英語屋さん」「颱風さん」「御苦労さん」,吉川英治文学賞(第5回)〔昭和46年〕「幽霊になった男」「口紅と鏡」,紫綬褒章〔昭和51年〕,勲三等瑞宝章〔昭和58年〕

経歴
昭和5年大阪の住友合資会社に入社、24年には新会社の設立に伴い東京に移ったが、31年に退職するまで25年余、サラリーマン生活を送る。この間、9年に新聞のユーモア小説入選し、翌年サンデー毎日」の大衆文芸欄に応募した「あすも青空」が佳作に入選、この時初めて源氏鶏太のペンネームを使う。戦後の22年「たばこ娘」を「オール読物」に投稿、採用され、以後勤めの傍ら執筆活動を続ける。26年「英語屋さん」などで直木賞を受賞。ついで26年8月〜27年4月「サンデー毎日」に連載された「三等重役」が大ヒットし、題名は流行語ともなり、サラリーマン小説草分けの地位を不動なものとした。31年に専業作家となってからはサラリーマン小説のほか妖怪ものや老人ものを手がけた。33年から直木賞選考委員。他の主な作品に「ホープさん」「定年退職」「人事異動」「天上大風」「重役の椅子」「幽霊になった男」「口紅と鏡」など。「源氏鶏太全集」(全43巻 講談社)がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「源氏鶏太」の意味・わかりやすい解説

源氏鶏太
げんじけいた
(1912―1985)

小説家。富山市生まれ。本名田中富雄。17歳から詩作に専念、『新日本詩人』同人となり、詩を発表。富山商業卒業後、大阪の住友合資会社に入社、サラリーマン生活を送るかたわら懸賞小説に応募する。1947年(昭和22)『たばこ娘』が『オール読物』に採用されてデビューし、51年『英語屋さん』(1951)、『颱風(たいふう)さん』(1951)ほかで直木賞を受賞。『三等重役』(1951~52)、『停年退職』(1962)など作者の26年間にわたるサラリーマン体験を基底としたユーモアとペーソスに富む作品に特色が出ている。その後、サラリーマンの怨念(おんねん)や復讐(ふくしゅう)を描いて新境地を開き、『幽霊になった男』『口紅と鏡』(ともに1970)により吉川英治文学賞を受賞した。

[磯貝勝太郎]

『『源氏鶏太全集』全43巻(1965~67・講談社)』『『源氏鶏太自選作品集』全20巻(1973~74・講談社)』

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「源氏鶏太」の解説

源氏鶏太 げんじ-けいた

1912-1985 昭和時代後期の小説家。
明治45年4月19日生まれ。昭和5年住友合資に入社,勤めのかたわら小説をかき,26年「英語屋さん」などで直木賞。サラリーマンの哀歓をえがいた「三等重役」で流行作家となった。46年「口紅と鏡」「幽霊になった男」で吉川英治文学賞。昭和60年9月12日死去。73歳。富山県出身。富山商業卒。本名は田中富雄。
【格言など】人間は勇気を失ってはおしまいなのである。甘ったれてはならぬのである(「サラリーマンのための十二章」)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「源氏鶏太」の意味・わかりやすい解説

源氏鶏太
げんじけいた

[生]1912.4.19. 富山
[没]1985.9.12. 東京
小説家。本名,田中富雄。富山商業を卒業,大阪の住友合資会社に入社。勤続 25年余のサラリーマン体験を生かし,ユーモアとペーソスに富むサラリーマン小説を書き,『英語屋さん』 (1951) などで直木賞を受けた。代表作『三等重役』 (51~52) ,『停年退職』 (62) ,『永遠の眠りに眠らしめよ』 (77) など。

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367日誕生日大事典 「源氏鶏太」の解説

源氏 鶏太 (げんじ けいた)

生年月日:1912年4月19日
昭和時代の小説家。日本文芸家協会理事
1985年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の源氏鶏太の言及

【三等重役】より

…源氏鶏太(1912‐85)の現代小説。1951年から52年にかけて《サンデー毎日》に連載。…

※「源氏鶏太」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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