噴火に伴うさまざまな火山現象を観測・研究し、火山活動の実態を科学的に究明する観測所。噴火などによる災害の防止に役だっている。世界で最初に火山観測所が創設されたのはイタリアのベスビオ火山で1841年である。このほか、アメリカのハワイ島のキラウエア火山に創設されたハワイ火山観測所(1912)、イタリアのエトナ(シチリア島)、ロシア連邦のクリュチェフスカヤ(カムチャツカ半島)、インドネシアのメラピ(ジャワ島)、パプア・ニューギニアのラバウル(ニュー・ブリテン島)などの火山観測所も有名である。
日本では、1902年(明治35)の伊豆鳥島大爆発の惨害(島民125人全滅)などにかんがみ、火山観測の必要性が認識され、震災予防調査会(1892年創立)の大森房吉らの尽力で、1911年浅間山(あさまやま)の西側山腹に全国で初めて火山観測所が創設され、長野測候所(現、長野地方気象台)の協力で地震や気象を観測した。しかしその火山観測所は、冬季は欠測し、しかも1923年(大正12)同調査会の解消とともに廃止された。その観測や研究は、廃止の前年1922年に南側の麓(ふもと)の追分(おいわけ)に設けられた長野測候所支所(現、軽井沢特別地域気象観測所)と、1933年(昭和8)に東側山腹に設けられた東京大学地震研究所支所が受け継いできた。西日本では阿蘇山(あそさん)の火山観測所がもっとも古く、1927年創設の京都大学理学部の火山研究施設(現、地球熱学研究施設)、1931年創設の熊本測候所支所(現、阿蘇山特別地域気象観測所)がある。日本の火山観測所は、火山活動の地球物理観測や研究に重点が置かれているが、大学は基礎研究、気象庁は火山活動監視のための観測を使命としている。現在、有珠(うす)、箱根、伊豆大島、雲仙、霧島、桜島にも、大学などの観測所がある。気象庁は、全国20火山において現地の気象官署が常時対象火山の観測を続け、1965年(昭和40)からは火山活動についての火山情報の発表を業務としていた。2001年(平成13)に札幌、仙台、福岡管区気象台および本庁(東京)に火山監視・情報センターを設置し、観測データを地域ごとに集約することになった。これに伴い、これまでの気象官署が行っていた現地での火山観測の機能は廃止された。また、2007年からは、それまでの「火山情報」を「火山現象に関する警報及び予報」に変更し、噴火警戒レベルを導入した。
[諏訪 彰・中田節也]
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