栃木県中東部、那須郡(なすぐん)にあった旧町名(烏山町(まち))。現在は那須烏山市(なすからすやまし)の東部を占める地域。東部は茨城県と境を接する。旧烏山町は1889年(明治22)町制施行。1954年(昭和29)境、向田(むかだ)、七合(ななごう)の3村と合併。2005年(平成17)那須郡南那須町(みなみなすまち)と合併して市制施行、那須烏山市となった。JR烏山線の終点。国道294号が走る。旧町域の中心烏山は那珂(なか)川西岸に発達した河岸段丘上にあり、中世は那須氏、近世は烏山藩の城下町として栄え、現在もその名残(なごり)をとどめている。産業の中心は農業で、米作は那珂川沿岸低地と、東部の八溝(やみぞ)山地、西部の塩那(えんな)丘陵を刻む荒川、江(え)川などの谷底平野において行われる。また、近世から葉タバコ栽培も盛んであったが、近年はナシ、ウメなどの果樹栽培や畜産が増加している。近代的工業の発展は遅れているが、伝統的和紙作り(烏山和紙)が残っている。南部は那珂川県立自然公園になっている。八雲神社の山あげ祭は国指定重要無形民俗文化財。那須氏の菩提寺(ぼだいじ)天性(てんしょう)寺、烏山藩主大久保氏の菩提寺太平寺や竜門ノ滝がある。
[櫻井明久]
『加倉井健蔵著『烏山風土記』(1966・新生社)』▽『『烏山町史』(1978・烏山町)』
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