国際海峡 国連海洋法条約に基づき、国際航行に使用されている海峡。幅の狭い海峡内は沿岸国の領海となり、航行が制限されてしまうため、一定の定義に基づいて国際海峡が設けられた。国際海峡では船舶と航空機に対し、より自由度の高い「通過通航権」が認められている。国際海峡に該当しない領海では、船舶に沿岸国の秩序や安全を害しない限り、通航が認められる「無害通航権」が与えられるが、潜水艦は海面で旗を掲げなければならないなどの制約がある。(北京共同)
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1982年に成立した新海洋法条約は,国際海峡を公海または排他的経済水域の一部分と公海または排他的経済水域の他の部分との間にあって,国際航行に使用されている海峡であるとしている(海峡部分が領海であってもよい)。領海の幅が12カイリに拡大されると,これまで公海として自由に通航できた重要な国際海峡の多くが領海に編入されることになる。そこで,第3次海洋法会議(1973-82)において,米ソなど海洋先進国は国際海峡での自由通航権を主張し,海峡沿岸国の領海並みの無害通航権の主張と鋭く対立した。結局,新海洋法条約は,領海12カイリを成立させるため,国際海峡につき,妨げられない通過通航transitpassageの権利を認める新制度を導入し,妥協を図った。
国際海峡において,すべての船舶と航空機は,継続的かつ迅速な通過の目的のみのために,航行と上空飛行の自由を行使することができる(通過通航権)。潜水艦は浮上しないまま航行できる。ただし,通行に際しては,海峡またはその上空を遅滞なく進行しなければならず,いかなる武力の行使または武力による威嚇をも慎み,継続的かつ迅速な通過に通常付随する活動以外のいかなる活動も慎まなければならない。海峡沿岸国は,通過通航にかかわる法令を制定することができ,通航の安全に必要な場合には,航路帯を指定し,分離通航方式を設定することができる。しかし,海峡沿岸国は,通過通航を妨害または停止してはならない。なお,日本では宗谷,津軽,対馬,大隅の4海峡が国際海峡である。
執筆者:尾崎 重義
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国連海洋法条約第3部の規定などによれば24海里を超えない距離で、海岸が向かい合っている狭い海の部分が、二つの公海または排他的経済水域を結んで、自然の海路を構成し、国際航行に通常使用されるものをいう。海外では、マラッカ海峡、ホルムズ海峡、ジブラルタル海峡など、日本では、津軽(つがる)海峡、宗谷(そうや)海峡、大隅(おおすみ)海峡、対馬(つしま)海峡東水道、対馬海峡西水道が国際海峡とされている。沿岸国はこの海峡に、条約に定める基準に従って、領海を設定することができる。しかし国際海峡において、すべての艦船と航空機は通過通航権を享有し、沿岸国はその通航を妨害してはならない。通過通航中の艦船と航空機は、沿岸国の平和と安全を脅かしてはならない。また国際的規則に従って沿岸国の定める通航に関する法令と航路帯および分離通航帯の指定を含む措置とに従って、もっぱら継続的かつ迅速に通過しなければならない。なお、ダーダネルス、ボスポラス海峡など以前から特別な条約によって通航制度が定められているものもある。
[中村 洸]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…海峡外域に配置する艦艇,航空機等は沿岸防衛のための兵力を兼ねるのが通例である。通峡阻止を行う場合は海上封鎖の場合と同様に,封鎖開始の日時と地理的範囲を定めて宣言し,中立国と関係国官憲に告知する必要があり,国際海峡の場合は中立国と友軍の船舶は通過させる措置を講じておく必要がある。とくに機雷を敷設する場合は,敵の妨害,反撃,ならびに友軍に対する危険等を考慮し,敷設時期は慎重に決定する必要がある。…
※「国際海峡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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