無患子(読み)ムクロジ

デジタル大辞泉 「無患子」の意味・読み・例文・類語

むくろ‐じ【無子】

ムクロジ科の落葉高木。本州中部以西の山地自生。高さ15メートル以上になる。葉は細長い小葉からなる羽状複葉。夏、雌花雄花とが円錐状につく。実は球形黄褐色に熟し、中の種子黒色で堅く、羽根つき羽根の玉に使う。果皮サポニンを含み、泡立つので石鹸せっけん代用とされた。むく。 秋》「雨の日の雨の―深大寺/麦人」

むく【無子】

ムクロジのこと。また、その実。

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精選版 日本国語大辞典 「無患子」の意味・読み・例文・類語

むくろ‐じ【無患子】

  1. 〘 名詞 〙 ムクロジ科の落葉高木。本州の中部・南部、四国、九州の山地に生える。高さ一五メートル以上になる。葉は羽状複葉で四~八対の小葉からなり、各小葉は披針形で長さ七~一六センチメートル。初夏、淡緑色の小さな五弁花を円錐状につける。果実は径約二センチメートルの扁球形で黄褐色に熟し、内部に黒い種子が一個ある。果皮にサポニンを含み、石鹸(せっけん)の代用にされた。種子を羽根つきの羽根の球に使う。和名は、古く、モクゲンジの漢名木欒子がこの木にあてられていたことによる。漢名、無患子・木槵樹。つぶ。《 季語・秋 》
    1. [初出の実例]「餠米六分のうる米四分の粉を水にてやはらかにこね、むくろじほどに丸」(出典:料理物語(1643)一七)

無患子の補助注記

「和漢三才図会‐八三」には「木欒子(ムクロジ) 欒華 和名無久礼之 俗云無久呂之」ともあり、ムクロジと、モクゲンジの異名であるムクレニジを混同していることがわかる。


むくろん‐じ【無患子】

  1. 〘 名詞 〙 「むくろじ(無患子)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「近所の子供が五六人むくろんじを持ち」(出典:黄表紙・通風伊勢物語(1782))

むく【無患子】

  1. 〘 名詞 〙むくろじ(無患子)

むくろう‐じ【無患子】

  1. 〘 名詞 〙 「むくろじ(無患子)」の変化した語。〔日葡辞書(1603‐04)〕

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動植物名よみかた辞典 普及版 「無患子」の解説

無患子 (ムクロジ・ツブ;ツブジ;ムクジ;ムクロウジ;ムクロンジ)

学名Sapindus mukurossi
植物。ムクロジ科の落葉高木,園芸植物,薬用植物

無患子 (モクゲンジ)

学名:Koelreuteria paniculata
植物。ムクロジ科の落葉高木

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