熱帯雨林保全(読み)ねったいうりんほぜん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「熱帯雨林保全」の意味・わかりやすい解説

熱帯雨林保全
ねったいうりんほぜん

熱帯雨林の破壊(→森林破壊)を防ぎ,保護すること。熱帯雨林の破壊は発展途上国を中心に,過度の焼畑農耕農地転用過放牧(→放牧),薪炭材の過剰採取,商業材の不適切な伐採森林火災(→山火事)などによって急速に進行している。熱帯雨林の面積は地球全陸地の約 6%にすぎないが,地球上の生物種の半分以上が生息し,その破壊によって,地域住民が燃料の不足や洪水の発生といった被害を受けるほか,遺伝子資源の喪失,気候緩和機能の低下,二酸化炭素濃度の増加による地球温暖化など,さまざまな悪影響を引き起こす。熱帯雨林破壊の背景には,発展途上国における貧困,急激な人口増加などの問題が存在するため,その根本原因に対処することが必要となる。熱帯雨林の減少を抑制するため,1985年国連食糧農業機関 FAO世界銀行国連開発計画 UNDPなどが組織の協調的な取り組みとして熱帯林行動計画を開始した。1992年の環境と開発に関する国連会議地球サミット)では,森林原則声明森林減少対策が盛り込まれた「アジェンダ21」が採択された(→持続可能な開発)。2009年には国際熱帯木材機関 ITTO国際自然保護連合 IUCNが「熱帯生産林における生物多様性保全持続可能な利用のためのガイドライン」を発表し,森林の管理者などに対して熱帯生産林における生物多様性保全の方法についての 11の原則と 46のガイドラインが示された(→生物多様性)。

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