燐酸塩(読み)リンサンエン

デジタル大辞泉 「燐酸塩」の意味・読み・例文・類語

りんさん‐えん【×燐酸塩】

燐酸水素金属あるいは塩基置換してできる塩。正塩ほか、燐酸水素塩・燐酸二水素塩がある。一般に無色結晶
[補説]肥料のほか、食品添加物合成洗剤などに利用される。

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精選版 日本国語大辞典 「燐酸塩」の意味・読み・例文・類語

りんさん‐えん【燐酸塩】

  1. 〘 名詞 〙 燐酸の塩。正塩のほか燐酸水素塩、燐酸二水素塩がある。一般に無色の結晶。主に肥料に用いる。〔健全学(1867)〕

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化学辞典 第2版 「燐酸塩」の解説

リン酸塩
リンサンエン
phosphate

一般には,オルトリン酸H3PO4の塩をいう.MH2PO4,M2HPO4,M3PO4の3種類の塩がある.アルカリ金属の塩はリチウム塩を除き水に可溶である.アルカリ金属塩はリン酸と各金属の水酸化物の反応で,重金属塩などはそれら金属の可溶性塩とアルカリ金属塩との複分解で得られる.いずれも四面体型のPO4が独立に存在する.アルカリ土類金属リン酸塩のうち,天然にもCa塩がリン鉱石(りん灰石)として存在する.二水素塩以外は難溶である.CaHPO4は水に溶けにくいので,肥料として用いるには,可溶性の二水素塩Ca(H2PO4)2 とする必要がある.重過リン酸石灰ともよばれ,リン酸肥料として重要である.鉄鋼の防食法の一つであるパーカライジング法は,金属表面にリン酸塩皮膜をつくることによる.リン酸塩の用途としては,ポリリン酸塩の高分子性を利用したものが多い.H3PO4は三塩基酸なので,中性塩のM3PO4と,酸性塩のM2HPO4およびM H2PO4の3種類の型の塩が存在する.アルカリ金属塩の水溶液は,中性塩はアルカリ性,一水素塩は微アルカリ性,二水素塩は微酸性である.塩の固体を加熱すると,中性塩は反応しにくいが,一水素塩は二リン酸塩に,二水素塩はメタリン酸塩に,また,一,および二水素塩を適当な比に混合して加熱すると,比に応じた長さの鎖状ポリリン酸塩がおもに得られる.種々の金属の塩が,それぞれの用途に利用される.ことにCaのリン酸水素塩は,肥料として重要である.そのほかの塩は,それぞれ耐熱性材料,金属のさび止め剤,洗剤ビルダー,イオン交換体,セラミックスの材料,吸着剤触媒,歯磨き剤などに用いられている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

岩石学辞典 「燐酸塩」の解説

燐酸塩

堆積性物質の鉱床で,有機燐酸塩の量がかなり含まれるもの.普通は燐酸塩の経済的な鉱床では燐酸トリカルシウム(tricalcium phosphate)の含有量が66%以下とはならない.堆積性燐酸塩の中の燐酸塩鉱物には,弗(ふっ)素燐灰石(fluorapatite),水酸燐灰石(hydroxyapatite),炭酸燐灰石(carbonate-apatite)などが含まれ,これらは一般に非晶質から潜晶質である.堆積性燐酸塩は,普通は海洋の条件,あるいはグアノ(guano)で形成される.火成岩の中で燐酸塩が濃集することは一般に経済的には重要ではない.燐酸塩の一次的な用途は肥料である.鉱物塩としての燐酸塩は,R3PO4,R3(PO)2, RPO4などで,ゼノタイム(xenotime), モナズ石(monazite), 燐灰石(apatite)などがある[Dana : 1951, Bateman : 1952].

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