燕楽(読み)エンガク

デジタル大辞泉 「燕楽」の意味・読み・例文・類語

えん‐がく【×燕楽】

中国で、古代から宴会の席で演奏した音楽。各時代の新しい流行や、西域から移入された胡楽こがくなどを取り入れたもの。儀式のときの雅楽に対して俗楽ともいった。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「燕楽」の意味・わかりやすい解説

燕楽
えんがく

中国音楽の種目名。宴楽宴饗楽(えんきょうがく)ともいう。各時代の俗楽を取り入れた宮廷の饗宴音楽で、内容が一定しないため、雅正の楽である雅楽と狭義には区別される。宴席に用いる民衆の楽として、その名称は遠く周代にもあるが、隋(ずい)・唐の時代より中央アジア、インドの亀茲楽(きじがく)、天竺楽(てんじくがく)など、西域楽(胡楽(こがく))が盛んに到来すると、これとともに国際性豊かな宴饗楽として、宮廷で正式に制定された。唐代末期に西域楽と俗楽は合して新俗楽となり、宋(そう)代にはこれを一般に燕楽とよんだ。日本の雅楽(唐楽)は西域楽を含んだ唐の宴饗楽を天平(てんぴょう)年間(729~749)から輸入し発展させたものといえる。元(げん)代では宴楽と称し、新作が試みられた。

[橋本曜子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「燕楽」の意味・わかりやすい解説

燕楽【えんがく】

中国宮廷での宴饗(えんきょう)音楽の総称。宴楽とも書く。中国語ではイェンユエ。狭義には南朝宋代の宮廷俗楽。讌楽は唐・宋代の胡楽を盛りこんだもので,国家的祭典,宮廷の祝宴皇帝を賛美した。雅楽(ヤーユエ)と異なり娯楽的と考えられ唐代の十部伎,教坊の女楽,梨園(りえん)の曲法などの燕楽は俗楽と称した。宋代では胡楽,俗楽の総称。唐代の燕楽が伝来して,日本の雅楽となった。
→関連項目

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android