中国,唐代の政治家,学者。京兆万年(陝西省西安市)の人。字は君卿。高官の家柄に生まれたので,科挙試験によらず恩蔭によって官界に入った。地方官を歴任したのち,徳宗朝で楊炎が宰相となり両税法を施行したころ,水陸転運使や戸部侍郎判度支となって国家財政の運営の責任をになった。まもなく宰相の盧杞(ろき)に憎まれ,蘇州刺史や嶺南節度使を経たが,ついに宰相となり,とくに憲宗に信任された。彼は政治家としても人臣を極めたが,後世ではむしろ司馬遷《史記》以来の名著とされる《通典(つてん)》の著者として知られる。彼が30年の歳月をかけて撰述した《通典》200巻は唐以前の中国の諸制度の沿革を通観した屈指の史書であり,随所に経世的な見解を盛り込んでいる。宋代の朱熹(しゆき)(朱子)が〈古を非とし今を是とする〉書と評した《理道要訣》10巻は,逸して伝わらないが,尚古主義の横溢した中国における発展史観の学者として高く評価されている。
執筆者:礪波 護
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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