物的会社（読み）ブッテキカイシャ

デジタル大辞泉

ぶってき‐かいしゃ〔‐クワイシヤ〕【物的会社】

会社と社員との関係が希薄で、会社財産などに活動の重点が置かれている会社。株式会社など。→人的会社

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

ぶってき‐かいしゃ‥クヮイシャ【物的会社】

1. 〘 名詞 〙 会社の債権者に対する責任が、社員の個性などの人的条件よりも、会社の財産に重点がおかれる会社。株式会社や有限会社がこれに属する。人的会社に対していう。

出典　精選版 日本国語大辞典

日本大百科全書(ニッポニカ)

物的会社
ぶってきかいしゃ

会社の共同出資者相互の関係が、単に資本を共同出資した関係にすぎないような会社をいう。このような物的会社という概念は、人的会社という概念とともに、会社法上その設立が認められている株式会社、合資会社、合名会社、合同会社を講学上分類するための概念である。一般論としていえば、典型的な株式会社のように、株主相互間に人的信頼関係はなく、株主は会社の重要事項についての決定に参加するが、業務執行は取締役会、代表取締役にゆだねる、そして、株主は会社債務について間接有限責任（その出資した財産でしか責任を負わないこと）しか負わないような会社を、物的会社という。多数の出資者を募って巨大な資本を有する企業は物的会社とならざるをえない。なお、合名会社・合資会社は人的会社とされ、合同会社は物的会社と人的会社の両側面をあわせもつものとされている。

［永井和之］

[参照項目] | 株式会社 | 人的会社

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

物的会社
ぶってきがいしゃ
Realgesellschaft; Kapitalgesellschaft

社員と会社との関係が希薄であり，資本的結合関係に重点を置く会社。人的会社に対するもの。企業の所有と経営が分離され，社員は基本的重要事項の決定に参与できるが，みずから当然には業務執行権・代表権をもたず，反面，会社の債務に対しては有限責任を負うにすぎない。したがって社員間の信頼関係は問題にならず，また会社債権者のために担保となりうるのは会社財産だけである。このため会社財産の一定額を会社内部に留保させるべく資本制度がとられている。株式会社は典型的な物的会社である。また，合同会社は会社の内部については人的な関係が強いが，すべての社員が有限責任である点において物的会社の特徴を有する。

出典　ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

百科事典マイペディア

物的会社【ぶってきかいしゃ】

→資本会社

出典　株式会社平凡社

世界大百科事典（旧版）内の物的会社の言及

【会社】より

…これに対して，社員が間接有限責任しか負わない場合には，所有と経営の分離が可能となり，会社に対する出資義務を履行する者でありさえすれば，社員の個性は格別に問題とはならないことになる。これを会社の債権者の側から見れば，合名会社や合資会社にあっては，社員(無限責任社員)の財産が究極的な担保となるのに対して，株式会社や有限会社にあっては，会社の資産だけが担保となる(物的会社)。本来，物的会社では，社員の個性が問題とならないのであるから，社員の交代は自由であるべきものである。…

※「物的会社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」