代表取締役(読み)だいひょうとりしまりやく

百科事典マイペディアの解説

代表取締役【だいひょうとりしまりやく】

株式会社を対外的に代表する常置の機関。会社法においては,取締役会を設置しない会社については各取締役が会社を代表することとなる。定款に別段の定めのない限り取締役会により取締役中から選任(会社法349,362条)。代表権の範囲は会社の営業に関する一切の行為に及び,その制限は善意の第三者に対抗し得ない。その氏名は登記事項。委員会設置会社には代表取締役をおくことができない。
→関連項目執行役

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世界大百科事典 第2版の解説

だいひょうとりしまりやく【代表取締役】

会社の業務を執行し,対外的に会社を代表する取締役。株式会社は必ず1名以上必要とする。取締役の中から取締役会の決議によって選任される(商法261条1項)。代表取締役の氏名・住所は登記しなければならない(188条2項8号)。多くの会社は取締役の中に職階制を設け,会長,社長,副社長,専務取締役,常務取締役という役付きの取締役を置くが,これらは法律上の地位ではなく,登記もできない。役付きであっても,代表取締役に選任されていなければ,会社を代表する権限はない。

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大辞林 第三版の解説

だいひょうとりしまりやく【代表取締役】

取締役のうち、会社を代表し、業務執行を指揮する者。株式会社では、取締役会または株主総会で選任することができる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

代表取締役
だいひょうとりしまりやく

委員会設置会社以外の会社において、会社を代表し、かつ、業務執行をなす機関。取締役会非設置会社では、原則として各取締役が代表取締役に該当することになる(会社法349条1項本文・2項)。ただし、定款、定款の定めに基づく取締役の互選または株主総会の決議によって、取締役のなかから代表取締役を定めることができる(同法349条3項)。取締役会設置会社では、代表取締役は必要的機関であり、取締役会が選定する(同法362条2項3号・3項)。取締役会は会議体であり、会社を代表・業務執行するには適しないからである。[戸田修三・福原紀彦]

権限

代表取締役の権限は会社の代表と業務執行自体である。株主総会または取締役会という会議体の機関が「業務執行の決定」を行い、この決定に基づいて、会社の「業務執行自体」を行い、かつ、会社を代表する権限を有する。ただ、業務執行には迅速性が要求されるので、ときに、取締役会から委譲された範囲内で代表取締役自身で「業務執行の決定」がなされることもある。とくに、日常業務の決定は代表取締役にゆだねられている。代表取締役の代表権は、会社の業務に関するいっさいの裁判上・裁判外の行為に及び(包括性・会社法349条4項)、会社はこの権限に制限を加えたとしても、この制限を知らない(善意の)第三者に対して制限がある旨を主張することはできない(不可制限性・同法349条5項)。[戸田修三・福原紀彦]

表見代表取締役

代表取締役でない取締役は代表権をもたないが、社長や副社長など代表権があると誤認させるような名称を与えられた取締役を表見代表取締役という。日本では、定款により、取締役のうち取締役会長、社長、副社長、専務取締役、常務取締役など、いわゆる役付取締役を設ける例が多いが、これと代表取締役とは観念上別個のものであることに注意を要する。そして、この表見代表取締役がした行為については、たとえ実際にはその者に代表権がないときであっても、会社は、代表権がない取締役の行為であることを知らない(善意の)第三者に対して責任を負うものとした(会社法354条)。通常、社長や副社長などの名称が付された者は、代表権があると信じられがちであるから、その外観を信頼した者を保護するためにこのような制度が設けられた。判例では、重過失のある第三者も悪意と同視している。[戸田修三・福原紀彦]
『土田義憲著『取締役・監査役の内部統制』(2007・中央経済社)』

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精選版 日本国語大辞典の解説

だいひょう‐とりしまりやく ダイヘウ‥【代表取締役】

〘名〙 株式会社の業務の執行にあたり、会社を代表する権限をもつ取締役。取締役会の決議により選任され、その氏名は登記事項とされている。会長、社長、副社長、専務取締役、常務取締役など。〔商法(明治三二年)(1899)〕

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世界大百科事典内の代表取締役の言及

【株式会社】より

…ところが実際は,株主は経営に無関心であり経営に暗いので,経営者側が指名した取締役・監査役候補者がほぼ例外なく株主総会で支持を受ける。選任された取締役は,法制度上は,取締役会を形成し,取締役のなかから代表取締役(社長ほか若干の取締役)を選任して内部的および対外的な業務執行権限と日常的業務執行の決定権限とをゆだねるとともに,取締役会自身は,重要な業務執行についてはみずから決定し,かつ代表取締役がなす職務の執行を監督することになっている(260条)。すなわち,制度上は取締役会は代表取締役の上位にある。…

【取締役】より

…ほかに若干の訴訟を提起するなどの権限があるが,取締役であるからといって当然に,会社の業務を執行したり会社を代表する権限を持つわけではない。そのような権限を持つのは代表取締役である。代表権はないが会社内部の業務執行を分担する取締役(業務担当取締役)を取締役会の決議で選ぶこともできる。…

【理事】より

…理事は,数人ある場合もそれぞれが法人を代表する権限を有するのを原則とするが,通常は定款や寄付行為によって代表理事(理事長)1名に代表権を集中している(53,54条。会社にあっては代表取締役)。理事の行為は,すなわち法人の行為であるから,理事が職務を行うにつき他人に損害を加えたときは法人の不法行為として法人が賠償責任を負う(44条)。…

※「代表取締役」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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