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献体 けんたい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

献体
けんたい

医学教育における解剖学実習のために,死後,自分の遺体大学医学部に預けること。生前すでにその意志をもつ人々を献体篤志家という。日本にはそうした篤志家団体が多く,財団法人「日本篤志献体協会」もある。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

献体

医師や歯科医師をめざす学生の教育や研究のために自らの遺体を解剖実習に提供すること。希望者は肉親の同意を得たうえで無報酬、無条件で大学に登録する。遺体は大学で防腐処理して保管し、実習後、大学が火葬する。遺骨遺族に返されるのは、亡くなってから1~2年後になる。篤志解剖全国連合会(東京)によると、2009年度は全国で約2千人が登録し、徳島県内は64人が登録した。映画や小説で献体が取り上げられ、登録者は増加傾向で、徳島大学白菊会は登録を年1回にしている。徳島県内では年間約40体が解剖されている。

(2012-01-05 朝日新聞 朝刊 愛媛全県 1地方)

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デジタル大辞泉の解説

けん‐たい【献体】

[名](スル)死後自分の遺体を解剖学の実習のために提供すること。

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百科事典マイペディアの解説

献体【けんたい】

医師および歯科医師の育成を目的として,人体解剖学の教育・研究に役立たせるために,自分の遺体を無条件・無報酬で提供すること。解剖には,人体の構造を調べるための解剖(正常解剖),死後の病変を調べるための解剖(病理解剖),法医解剖または司法・行政解剖などがあるが,献体は主に,大学の人体解剖学実習での正常解剖のために利用される。献体の登録は財団法人日本篤志献体協会に申請すればよいが,登録には肉親者の同意が必要であり,登録者の死後,実際にその遺志を実行するのは遺族(肉親者)ということになる。遺族のなかにひとりでも反対者がいれば,献体は実行されない。 2007年現在,日本には献体篤志家団体が61団体あり,献体登録者の総数は21万人を超えている。そのうち,実際に献体した人数は8万人以上といわれる。 献体の取扱いについては各大学にまかされており,すべての実習を献体によって実施しているところもあれば,献体を扱っていないところもある。これは,献体に対する考え方や習慣,地域性などの違いによるものと考えられる。

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葬儀辞典の解説

献体

大学の医学部などでの解剖実習など、研究用に無償で遺体を提供すること。意志のある人は生前に登録し、家族全員の了承を得る必要があります。また、遺骨が家族の元に戻るのは、死後1〜2年が通常の流れです。

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世界大百科事典 第2版の解説

けんたい【献体】

死後,みずからの遺体を医学(歯学を含む)教育のために,学生の解剖学実習用として提供する行為をいう。医科大学における解剖には,医学生が医学教育の基本として人体の構造を学ぶための解剖(正常解剖または系統解剖という)と,死亡した直後に病気の原因を究明するために行う病理解剖とがあるが,献体の場合の遺体提供は前者,すなわち正常解剖用の遺体提供を指す。1983年,〈医学及び歯学の教育のための献体に関する法律〉の公布により,もし本人が生前に書面により献体の申出をしていた場合には,死後は遺族の書面による承諾を必要としないこととなった。

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大辞林 第三版の解説

けんたい【献体】

( 名 ) スル
死後、自分の身体を大学などの解剖実習用に提供すること。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

献体
けんたい

個人が生前からもっていた意思に基づいて、本人の死後、その遺体を、正常解剖を通じて行われる医学の研究・教育の解剖用教材として、医学・歯学に関する大学に寄贈することをいう。ここにいう正常解剖とは、医学生・歯学生が人体解剖実習によって人体の正常な構造を学ぶ解剖をいう。これは医学生・歯学生にとっては医学のもっとも基礎となる教育実習で、人体の構造を正確に理解し、その知識を自分のものとするためには不可欠の解剖実習である。一方、この解剖実習を完全に実施していかなければならない医学・歯学の大学にとっては、人間の解剖体を確保することが重要な責務となっている。人体解剖における解剖体の入手については、思想上や宗教上の理由、あるいは解剖そのものが忌み嫌われていたことなどから、医学の歴史のなかにおいても、つねに困難な問題となっていた。従来日本の大学で入手する解剖体の対象は、死後の引き取り手がない遺体、あるいは社会的にも恵まれない立場にあった人々の遺体が大部分であった。しかし、近年、医科・歯科の大学の増設、社会経済の発展と生活的な豊かさ、社会的福祉の向上充実などで、こうした解剖用遺体の確保がきわめて困難な状況となり、医学教育上の大きな問題となった。一方では、この現況を憂える人々によって、良医を育成すべき医学教育の充実を目ざして、自己の死後の遺体寄贈という献体運動が推進されてきた。この「献体」という語は、岡山県笠岡(かさおか)市出身の社会奉仕家、長安亮太郎(りょうたろう)が1967年(昭和42)10月に遺体寄贈運動のために作成された広報印刷物に使用したのが最初といわれる。
 献体を主旨として、人間性と倫理性に富んだ良医を養成するために、自己の遺体を無償で提供しようとする解剖篤志家が結成している献体団体は、日本全国ですでに数十団体を数え、この数はなお年々更新されつつある。このうち、関東地区では「白菊会」、関西地区では「不老会」が創立の歴史も古く(前者は1955年、後者は62年発足)、活発な運動を続けている大きな団体といえる。また、1971年からはこうした献体団体と大学を結んだ「篤志解剖全国連合会」が結成され、各地区の医学・歯学の大学における解剖教育に貢献している。
 献体の思想は、アメリカ、イギリス、カナダ、ドイツなどの欧米先進国では早くから普及しており、献体行為も慣習化し、国によっては献体登録が法制化されている。たとえば、アメリカでは、18歳以上の精神健全な個人なら、自己の意思によって自分の遺体の処置法を生前に決めておけるという法的権利が認められている。
 日本では1983年5月の第58回通常国会において「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」(昭和58年法律第56号)が可決され、同年5月25日に公布された。この献体の法制化によって、日本では献眼、献腎(じん)(腎臓提供)に次いで、献体の法律が実現したことになる。この法律に定められた「献体の思想」とは、「自己の身体を死後医学又は歯学の教育として行われる身体の正常な構造を明らかにするための解剖の解剖体として提供することを希望することをいう」としている。そしてこの献体の意思は尊重されなければならない、と定めてある。しかしながら、一方では、「死亡した者が献体の意思を書面により表示している旨を遺族に通知し、遺族がその解剖を拒まない場合」には献体者の解剖ができる、との歯止めも決められている。
 なお、献体の申し出は、各献体団体、前出の全国連合会のほか、各医学部・歯学部で取り扱っているので問い合わせればよい。[嶋井和世]

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世界大百科事典内の献体の言及

【死】より

… なお,〈死体解剖保存法〉(1949)にもとづいて,死体が解剖される場合がある。また,〈医学及び歯学教育のための献体に関する法律〉(略称,献体法。1983)にもとづいて,死体が献体される場合がある。…

※「献体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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