木彫像に用いられる水晶製の眼。眼球の部分をくりぬいて頭部内の内ぐりと貫通させ,内側から凸レンズ状の水晶の裏に瞳を描き,後ろに綿か紙を当てて白目の部分とし,全体を当て木で押えて竹釘で留める。彫眼に対して独特な写実的効果をあげる。仁平1年(1151)の銘をもつ奈良長岳寺阿弥陀三尊像を初例とし,平安時代末期に始まり鎌倉時代以降,時代の写実的な美意識に支えられて盛んに用いられた。中国には同様の技法は知られない。中世以後の仏像修理時に当初の彫眼を玉眼に改造した例がしばしば見られる。なお瞳の部分だけに外側から石,練物等をはめる技法は奈良時代以来あるが,これは〈瞳嵌入〉と呼ばれ玉眼とは区別される。
執筆者:副島 弘道
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…地方豪族の発願になる粗野で力強い仏像彫刻が見られるようになり,中央でもようやく定朝(じようちよう)様の温雅な様式からの脱皮を意図する作品が出てくる。1151年(仁平1)造立の奈良長岳寺の阿弥陀三尊像に見る量感の表現はこれまでに求められないもので,特に玉眼の使用が注目される。玉眼は鎌倉時代に顕著な技法であって,この像が現存最古の例である。…
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