王滝川(読み)おうたきがわ

日本歴史地名大系 「王滝川」の解説

王滝川
おうたきがわ

御嶽おんたけ(三〇六三・四メートル)の山麓西側を流れる土浦沢つちうらざわ上黒沢かみくろさわ下黒沢しもくろさわにごり川を合わせ、岐阜県境の阿寺あでら山地しら川・うぐい川・瀬戸せと川、それに御嶽東山麓からの西野にしの川を合わせて木曾福島きそふくしま川合かわい木曾川に合流する。

王滝川のことが文献の上にはっきりと現れてくるのは貞享二年(一六八五)木曾路を通った貝原益軒の「岐蘇路之記」に「おんたけ川」と出ている。文化二年(一八〇五)の「木曾路名所図会」にも「御嶽川」とある。「王滝村」を「オンタケ村」とよんでいたように「王滝川」「御嶽川」の両様によばれ、宝暦七年(一七五七)の「吉蘇志略」、天保九年(一八三八)の「木曾巡行記」には「王滝川」とある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「王滝川」の意味・わかりやすい解説

王滝川
おうたきがわ

長野県南西部を流れる川。木曽川(きそがわ)の支流で、御嶽山(おんたけさん)の南西麓(ろく)から流出し、南麓を回り、木曽町南方で木曽川に合流する。延長約54キロメートル。この川は水資源峡谷美に特色がある。最上流部には三浦ダム(みうれだむ)(三浦湖)が1943年(昭和18)に築造され、いまなお下流から入る一般の自動車道はなく自然のままの秘境をなす。上流部は熟達者のイワナ釣りの本格的フィールドとして知られる。中流には王滝川ダム愛知用水の水源池牧尾ダム(まきおだむ)(1961年完成)、常盤ダム、木曽ダムがある。一方、王滝川の支流には木曽川本流ではみられない氷ヶ瀬渓谷(ひょうがせけいこく)をはじめとする優れた峡谷があったが、長野県西部地震(1984)後に氷ヶ瀬の上流は堰止め湖となっている。流域は木曽ヒノキの天然美林が多く、三浦湖周辺はこの最たるものである。

[小林寛義]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「王滝川」の意味・わかりやすい解説

王滝川
おうたきがわ

長野県南西部を流れる木曾川の支流。全長約 48km。岐阜県境にある御嶽山の西斜面に発し,南麓を東流して木曽町で木曾川に合流する。流水量が多いので,水資源の豊かな木曾谷でも特に利用が進んでいる。三浦ダム (1943完成) ,日本最初のロックフィルダムで愛知用水の源である牧尾ダム (1961完成) のほか王滝川ダム,木曾ダムがある。流域には峡谷美が多く,ヒノキの美林に包まれる。上流部は秘境。御岳県立自然公園に属する。

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