王滝村(読み)おうたきむら

日本歴史地名大系 「王滝村」の解説

王滝村
おうたきむら

[現在地名]王滝村

暦応元年(一三三八)木曾家村が木曾を領し、馬籠・田立・西野・奈川・王滝に砦塞を構えたという(岐蘇古今沿革志)真弓まゆみ峠、白巣しらす峠を越えてくる美濃と、鞍掛くらかけ峠を越えてくる飛騨からの敵に対する押えである。

「永正元年七月十日、飛州之者大勢入込、王滝にて乱取すとて、在番上野肥後より飛脚来る」とある宝永三年(一七〇六)の「木曾考」の「義元討死王滝取手地戦の事」の記事によると、永正元年(一五〇四)七月飛騨国三木修理亮重頼が兵数百をもって白巣峠を越えて木曾へ侵入し、木曾義元はこれを王滝城で防いだが落城、敗走して負傷し、途中岩郷いわごう川合で卒している。この時の王滝城について宝暦七年(一七五七)の「吉蘇志略」は「崩越城。其後ろ山下の石壁は劃破して、澗水は奔騰し、最も要害の地なり、按ずるに木曾考に左京大夫義元戍卒を置き以て飛騨軍を拒ぐと。


王滝村
おうたきむら

面積:三一二・七一平方キロ

木曾郡の西端、御嶽おんたけ山麓にある木曾郡最大の面積をもつ広大な村で、北にそびえる御嶽から西にかけて岐阜県に境し、南は大桑おおくわ村と上松あげまつ町、東は三岳みたけ村に連なっている。集落は木曾川支流の王滝川沿いに散在し、中心集落上島うわしまは御嶽山の信仰集落である。

面積の九七パーセントが木曾五木の国有林を中心にした山林原野で、うぐいがわ瀬戸川せとがわ白川しらかわ国有林は檜の代表的美林で、とくに瀬戸川国有林は第二次世界大戦前まで伊勢神宮の造営用材確保のための神宮備林に指定されていた。現在の中心産業は林業と観光事業で、農業はダム建設による耕地の水没などで振るわないが、肉用牛の放牧飼育が行われている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「王滝村」の意味・わかりやすい解説

王滝〔村〕
おうたき

長野県南西部,御嶽山の南麓,木曾川の支流王滝川の流域にある村。 1970年代までは村域のほとんどがヒノキサワラなど木曾五木の国有林地で,林業が盛んであったが,近年は観光業が主産業となっている。中心集落の王滝は御嶽登山口の一つで,御嶽神社の里宮がある宗教集落をなし,民宿も多い。御嶽山7合目の御岳高原,王滝川上流の秘境三浦ダム,中流の御岳湖などの観光地がある。多くの渓流は峡谷美をなし,新緑,紅葉が美しい。村域の一部は御岳県立自然公園に属する。面積 310.82km2。人口 715(2020)。

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