王鳴盛(読み)オウメイセイ

デジタル大辞泉 「王鳴盛」の意味・読み・例文・類語

おう‐めいせい〔ワウ‐〕【王鳴盛】

[1720~1797]中国代の歴史学者・経学者。嘉定江蘇省)の人。あざな鳳喈ほうかい。号は礼堂・西荘。「十七史商榷じゅうしちししょうかく」は考証的史学の名著といわれる。詩文にも長じ、「耕養斎詩文集」などがある。

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精選版 日本国語大辞典 「王鳴盛」の意味・読み・例文・類語

おう‐めいせい ワウ‥【王鳴盛】

中国、清代の考証学者。字(あざな)は鳳喈(ほうかい)。号は礼堂または西荘、西沚(せいし)江蘇嘉定の人。著「尚書後案」「十七史商榷(しょうかく)」など。(一七二二‐九七

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「王鳴盛」の意味・わかりやすい解説

王鳴盛
おうめいせい
(1720―1797)

中国、清(しん)代、乾隆(けんりゅう)の盛期の学者。趙翼(ちょうよく)、妹婿の銭大昕(せんたいきん)と並んで当時の代表的な歴史家。江蘇(こうそ)省嘉定県の人で、字(あざな)は鳳階(ほうかい)、号は西沚(せいし)、西荘(せいそう)先生とよばれた。沈徳潜(しんとくせん)について学び、35歳で進士及第、翰林院(かんりんいん)に入り、昇進して内閣学士兼礼部侍郎に至った。だが、功を焦る風が災いしてか、駅馬を乱用したとして左遷され、ついで退官し、ふたたび官途につかず、蘇州に住んで30年、読書と著述専念声望は高かったが倹素で「寒士の如(ごと)し」といわれた。その学は経史子集にわたり、歴代正史を評論した『十七史商榷(しょうかく)』、解説評論集『蛾術篇(ぎじゅつへん)』は名著の誉れが高い。

増井経夫 2016年3月18日]

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改訂新版 世界大百科事典 「王鳴盛」の意味・わかりやすい解説

王鳴盛 (おうめいせい)
Wáng Míng shèng
生没年:1722-97

中国,清中期の考証学者。嘉定(江蘇省)の人。字は鳳喈。乾隆19年(1754)の進士。累進して内閣学士兼礼部侍郎となったが,のち,光禄寺卿に左遷されて官をやめ,蘇州で読書の生活を送ること30年,その学は経史子集の各分野にわたる。経学は閻若璩(えんじやくきよ)・恵棟の影響をうけ,鄭玄(じようげん)の説を主とした漢学派であるが,彼はほぼ同時代の趙翼・銭大昕(せんたいきん)とならぶ歴史学者としてとくに著名である。その学風は乾隆中期以後,経学に刺激され経学の方法を応用して起こった考証史学と呼ばれるもので,まず歴代の正史を精究して記事の異同をきわめ,さらに雑史・小説・系譜・目録・諸子百家・金石文までも渉猟して考証をなし,その結果によって歴史の事実を定めようとした。著述として,経の分野には《尚書後案》《周礼軍賦説》,史の分野には《十七史商榷(しようかく)》,子の分野には《蛾術編》,集の分野には《耕養斎集》《西沚居士集》がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「王鳴盛」の意味・わかりやすい解説

王鳴盛
おうめいせい
Wang Ming-sheng

[生]康煕59(1720)
[没]嘉慶2(1797)
中国,清の考証学者,詩人。江蘇省嘉定の人。字は鳳かい (ほうかい) 。号は礼堂,西荘,西沚 (せいし) 。乾隆 19 (1754) 年進士に及第。内閣学士兼礼部侍郎まで昇進したが,ある事件に連座して光禄寺卿に左遷された。のち母の死に際して辞職し,その後世を去るまでの 30年近くを,読書と著述に専念して過した。若い頃,恵棟 (けいとう) について学問を修め,歴史学者として趙翼,銭大 昕と並び称された。広い学識をもとに,経学,史学などの各分野にわたる多くの著述がある。詩人としては,当時の文壇の一方の指導者であった沈徳潜の門に入り,唐詩を好んでその詩才をうたわれた。沈徳潜の編集した『江左七子詩選』の筆頭にあげられ,ともに呉中七子といわれた。主著は『尚書後案』『周礼軍賦説』『十七史商 榷』『蛾術編』。詩文集『西荘始存稿』『西沚居士集』。

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世界大百科事典(旧版)内の王鳴盛の言及

【正史】より

…しかし,専門に旧中国のことを研究する者にとって第一の材料である点はまちがいなく,人民共和国でも句読点を打った活字の標点本二十四史を刊行している。 なお唐の顔師古の《漢書注》をはじめ,前四史にはとくに優れた数多くの注釈があり,また銭大昕(せんたいきん),王鳴盛をはじめとした清朝の考証学者たちによって,徹底した本文校訂なども行われている(《廿二史考異》《十七史商榷》など)。さらに,表,志を欠く正史については,その増補がこまかく試みられ《二十五史補篇》として集成されている。…

※「王鳴盛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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