珍(漢字)

普及版 字通 「珍(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 9画

[字音] チン
[字訓] たから・めずらしい

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(しん)。に趁(ちん)の声がある。卜文に貝を包みこむ形の字があり、もと象形の字であった。箱に収めた形のものを貯という。〔説文〕一上に「寶なり」とあり、珍貴のものをいう。のち珍異・珍怪のものをもいい、〔書、旅〕に「珍禽奇獸」の語がある。玉器は魂振りの器として用いられ、そのような器を珍玩という。

[訓義]
1. たから、たからもの。
2. めずらしい、美しくまれなもの。
3. たっとぶ、よろこぶ、重んずる。
4. おいしい食事。

[古辞書の訓]
名義抄〕珍 タカラ・メヅラシ・メヅラカナリ・ウルハシ・ヨシ・タフトム・タクハフ 〔立〕珍 メヅラシ・ヨロコブ・タカラ・タムトフ・アヤシ・タクハフ 〔字鏡集〕珍 タフトム・タカラ・ヨシ・カサヌ・ヨロコブ・アヤシ・タフトシ・メヅラカナリ・タクラフ・ウルハシ・メヅラシ

[語系]
珍tin、thimは声義近く、〔詩、魯頌、水〕に「來(きた)りて其の(ちん)を獻ず」とみえる。美宝をいう。玉を献ずることには、魂振り的な意味があるとされた。貯tiaは貝を器に収める意。玉を収める珍と、双声の語である。

[熟語]
珍愛・珍異・珍珍禾珍華・珍嘉珍菓珍貨珍瑰・珍怪・珍感・珍・珍玩・珍・珍奇・珍貴・珍器・珍・珍・珍玉・珍禽・珍圭・珍肴・珍貢・珍旨珍侈珍事・珍滋珍珠・珍襲珍羞珍什・珍獣・珍書・珍祥・珍賞珍縟・珍新珍瑞珍惜・珍説珍鮮・珍善・珍膳・珍蔵珍重・珍・珍投・珍美・珍秘珍品・珍符・珍物珍幣・珍宝・珍木・珍墨・珍本・珍味・珍薬珍腴・珍用・珍麗
[下接語]
嘉珍・懐珍・貴珍・兼珍・献珍・貢珍・山珍・至珍・時珍・七珍・殊珍・珠珍・袖珍・掌珍・常珍・水珍・膳珍・酎珍・廚珍・重珍・珍・土珍・八珍・別珍・宝珍・陸珍

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報