現金主義(読み)げんきんしゅぎ(英語表記)cash basis

精選版 日本国語大辞典 「現金主義」の意味・読み・例文・類語

げんきん‐しゅぎ【現金主義】

〘名〙
① 現金の収入支出時点基準として、それに伴う収益および費用を計上する会計処理の原則。〔商業経済辞典(1938)〕
② 掛(かけ)でなく現金で売買をすること。
※女の部屋(1950)〈武田泰淳〉「やはりお酒のお店がいい。現金主義にして」
③ めさきの利益を第一に考えること。また、現金を最も大切なものと考えること。
※加藤文学博士に答ふ(1900)〈柏木義円〉「目にて目を償い、歯にて歯を償ふ主義、即ち報復主義、現金主義は、古往今来社会の制裁として世が執り来りたる主義なるなり」

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デジタル大辞泉 「現金主義」の意味・読み・例文・類語

げんきん‐しゅぎ【現金主義】

会計処理上の概念一つ。ある取引による損益や費用を、現金の受け渡しがあった時点で計上すること。→発生主義
クレジットカード電子マネーなどの利用や、掛け売り掛け買いを拒み、現金での売買にこだわること。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「現金主義」の意味・わかりやすい解説

現金主義
げんきんしゅぎ
cash basis

現金の収入,支出に基づいて収益,費用を認識する損益計算の原則。この原則に従えば,現金の収支という確実性の非常に高い基準によって損益が認識されるので,損益計算に主観の介入する余地が少く,資金的裏づけの点でも安全性が高い。しかし,非現金取引のウエイトが高い今日の企業活動にかんがみ,現在の企業会計の損益計算原則は現金主義を採用せず,いわゆる発生主義の原則が適用されている。ただ例外的に現金主義の適用を認めており,たとえば割賦販売収益の認識において販売基準でなく現金回収基準を適用している。

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会計用語キーワード辞典 「現金主義」の解説

現金主義

現金主義とは、現金の収支により費用と収益を計上することです。発生主義会計以前の会計ではよく使われていましたが信用取引が発達し、現金の収支と物の消費のタイミングが一致しなくなりました。そのため、企業の努力と成果をきちんと表示することができなくなったため徐々に発生主義に変わられつつあります。

現金主義

現金主義とは現金の収支により収益や費用を計上する基準のこと。

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改訂新版 世界大百科事典 「現金主義」の意味・わかりやすい解説

現金主義 (げんきんしゅぎ)

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世界大百科事典(旧版)内の現金主義の言及

【発生主義】より

…企業会計において,収益や費用の認識・計上を,財の経済価値の増加および減少という事実を基準にして行うことをいう。これは,現金の収入および支出という事実を基準とし,現金収入をもって収益とし,現金支出をもって費用とする現金主義cash basisと対立するものである。現金主義による会計を現金主義会計と呼び,発生主義による会計を発生主義会計と呼ぶ。…

※「現金主義」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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