甘英(読み)カンエイ(その他表記)Gān Yīng

デジタル大辞泉 「甘英」の意味・読み・例文・類語

かん‐えい【甘英】

中国後漢武将。97年、西域都護班超はんちょうの命で大秦国ローマ)に向かって出発安息国パルティア)を経てシリアにまで行ったが、大海渡航が困難のため断念した。生没年未詳。

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精選版 日本国語大辞典 「甘英」の意味・読み・例文・類語

かん‐えい【甘英】

  1. 中国、後漢の武将。和帝の永元九年(九七)、班超の命を受けて大秦(たいしん)に使いしたが、途中条支で、西海渡航の困難に直面して断念し、帰国した。生没年未詳。

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改訂新版 世界大百科事典 「甘英」の意味・わかりやすい解説

甘英 (かんえい)
Gān Yīng

中国,後漢の人。生没年不明。西域経営で大活躍した班超部将である。97年(永元9)に班超の命令大秦国(ローマ帝国)への使者となって出発した。安息国(パルティア)を過ぎて条支(じようし)国まで進んだが,そこから大秦にいたる航海が危険であると聞いて引きかえした。彼の使いは不成功に終わったが,この旅行で得た西アジアに関する知識を中国に伝えた功績は大きい。なお彼が航海を断念した海については,ペルシア湾とか地中海とするなどの諸説がある。
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百科事典マイペディア 「甘英」の意味・わかりやすい解説

甘英【かんえい】

中国,後漢の武将。1世紀後半から2世紀初頭の人。西域都護(中国の西方地域の統治機関長官班超部下であったが,くわしい生涯については不明。97年,班超の命で大秦国(ローマ帝国)に使節として出発したが,安息国(パルティア)を経て条支国(シリア?)に到ったところで旅行を断念したという。《後漢書》西域伝に記載されるが,古代における東西交渉の記録として注目される。
→関連項目大秦

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「甘英」の意味・わかりやすい解説

甘英
かんえい

生没年不詳。中国、後漢(ごかん)時代の人で西域(せいいき)都護班超(はんちょう)の部下。班超の命により、97年に大秦(たいしん)(ローマ帝国など諸説あり)に向けて出発。当時、班超による西域制圧が完成しつつあったことから、さらに西方の情勢を掌握する目的をもっていたものと思われる。『後漢書(ごかんじょ)』西域伝による限りでは、甘英は安息(パルティア)国内を通って、中国人として初めて条支(じょうし)国(シリア説、ファールス説あり)まで到達したが、大海(地中海またはペルシア湾)を前に引き返したという。甘英に関しては詳しい記録に乏しいが、『史記』『漢書(かんじょ)』に比べてみて、『後漢書』以降、パミール以西の情報が豊富になっている理由の一つに、この甘英による遣使行があげられることは疑いのないところであろう。

[梅村 坦]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「甘英」の解説

甘英(かんえい)
Gan Ying

生没年不詳

後漢の西域都護班超(はんちょう)の使者として,97年大秦(たいしん)国(ローマ)に向かった。条支(シリア)まで行き,大海を渡航しようとして果たさず帰国した。大海はペルシア湾とも地中海ともいわれている。

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旺文社世界史事典 三訂版 「甘英」の解説

甘 英
かんえい

生没年不詳
後漢 (ごかん) の部将
西域都護班超の命により,97年大秦 (たいしん) 国(ローマ)に赴こうとし,安息国(パルティア)を過ぎて条支国(シリア)の大海に至ったが,大秦国まで3か月かかると聞いて引き返した。条支国・大海・大秦国がどこにあたるかについては異説がある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「甘英」の意味・わかりやすい解説

甘英
かんえい
Gan Ying; Kan Ying

中国,後漢時代の西域都護班超の部下。班超の命を受け,永元9 (97) 年通交を求めて大秦国 (ローマ) に行こうとしたが,その途次,条支で大海にはばまれ,帰国したといわれる。

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