甘露梅(読み)カンロバイ

精選版 日本国語大辞典 「甘露梅」の意味・読み・例文・類語

かんろ‐ばい【甘露梅】

  1. 甘露梅〈守貞漫稿〉
    甘露梅〈守貞漫稿〉
  2. 〘 名詞 〙 梅の実を紫蘇の葉で包み、砂糖漬にしたもの。江戸新吉原の名物。梅の実を材料とした菓子。かんろうばい。
    1. [初出の実例]「甘露梅は松屋庄兵衛手製しはじむ」(出典:随筆・吉原大全(1768)四)
    2. 「かんろ梅もっとも古風なれども、これは吉原第一の名物」(出典:洒落本・郭中名物論(1780))

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「甘露梅」の意味・わかりやすい解説

甘露梅
かんろばい

本来は青いウメの実をシソの葉でくるみ砂糖漬けにした菓子で、江戸時代末期には新吉原の引手茶屋などが夏の間につくり、年始の贈り物にしたという。「甘露梅、女芸者の加役(かやく)なり」と川柳(せんりゅう)にもその情景が詠まれているが、この甘露梅の前身は、いわゆる月ヶ瀬漬けのような甘酢(あまず)漬けであったとみられる。昭和初期までは田舎(いなか)の茶の子には梅干しに砂糖をかけたものが供されたが、これは甘露梅をまねたもので、それほどにこの菓子は手作り風味が珍重されたのである。現在、商品化されている甘露梅は、餡(あん)を求肥(ぎゅうひ)でくるみシソの葉で包んだものとなっている。熱海(あたみ)、小田原の「甘露梅」、水戸の「水戸の梅」などの名物がある。岩手県一関(いちのせき)市の「田村の梅」は本来の姿をよく残した秀菓である。

[沢 史生


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