翻訳|life cycle
個人の生涯または家庭生活において、計画的なよりよい生活を追求するための設計。単に設計するだけでなく、設計に基づく行動が設計どおりに進まなかった場合の反省や批判を通じ、さらにそれを修正して実行に移すという、フィードバック機能をもったサイクル全体をさす。このように生活設計には、単に生活の経済的側面だけでなく、生活時間や家事労働などの面も含まれている。だが一般に生活設計という場合、経済生活設計に重点を置くことが多く、ここから生活設計をパーソナル・ファイナンスpersonal financeとよぶ人もいる。
生活設計ということばはすでに第二次世界大戦以前からみられたが、本格的に注目されるようになったのは、日本の場合、経済の高度成長期に入ってからのことである。昭和30年代後半から、所得向上、貯蓄増大に絡めて、生活設計は金融機関側から推進された。また、しだいに生活者も意識的に自分の置かれた環境条件にあわせて生活設計を考え、実行するようになるにつれ、この概念は家政学の重要な一環として取り入れられるようになった。その背景には、平均寿命の大幅な延長と社会保障の問題が潜んでいる。
生活設計には、短期と長期の区別がある。短期のものは、毎月繰り返される家計を合理的に計画化するもので、従来から家庭経済学の中心的課題とされていた。一方長期のものは、生涯を通じての経済計画をさし、具体的には住宅、教育、老後の資金計画をさす場合が多い。また生活設計のねらいは、現在の生活の充実(消費)と将来の生活の充実(貯蓄)という相反する二つの欲求の調和と両立を、生活の効率化、合理化を通して実現させることである。それだけに生活設計は、本来的に個人ないしは家族レベルの生活合理化の努力であるが、その努力が結実するような環境づくりという視点から、積極的に国家や地方自治体に福祉政策の充実を求めるという姿勢が現れてきた。住宅、教育、医療、年金、税金などをめぐる市民運動などがそれである。ここにおいて、生活設計は個人や家族内の努力から、国家や地方自治体の政策的努力を求める運動へと拡大してくる。これを、「環境適応から環境醸成への展開」とよぶ人もいる。
[青木 茂]
『青木茂著『中流の上生活法』(1981・日本実業出版)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
(上村協子 東京家政学院大学教授 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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