胎児が産道を通過するときに先にでてくる部分にできるふくらみをいう。正常の頭位分娩では頭頂部にできるが,顔が先にでてくる顔面位分娩では顔に,骨盤位分娩では臀部にみられることがある。先にでてくる部分が子宮や腟壁で強く圧迫され,鬱血(うつけつ)が起こって,血球や血漿が血管から漏出してくるために起こる。初産のときや難産のときにできやすい。ふくらみはやわらかく,境は不明りょうで,表面の皮膚には出血斑がみられることがある。産瘤は生まれたときにすでに認められ,1~2日で自然に消失する。治療の必要はない。
産瘤は似たような症状を呈する頭血腫cephalhematomaと区別しなければならない。頭血腫は頭の頂上で少し外側にできるこぶのようなふくらみで,頭の骨とそれを包む骨膜との間に起こった出血が原因である。生まれた直後にはなくて,半日か1日たってあらわれ,さわってみるとこぶの境は明りょうで,半球形にもり上がり,ぶよぶよとやわらかい。頭血腫は時間はかかるが,いずれ吸収されるので,感染のおそれのある穿刺(せんし)吸引はすべきではない。
→出産
執筆者:奥山 和男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
赤ちゃんが狭い産道を通過する際に、周囲からの圧迫によって先頭で進む部分の皮下の軟部組織に
出生直後からみられ、手のひらで包みこめる程度の大きさです。産道を通過する際の摩擦により、表面や周囲の皮膚に擦り傷ができることもあります。指で押すと軟らかく、押した跡にくぼみが残ります。これに似たものに
2~3日で自然に吸収されて消えます。とくに病的なものではなく、治療の必要はありません。
佐藤 尚
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
分娩(ぶんべん)中に胎児が狭い産道を通過する際、胎児の先進部が主として子宮口に圧迫されてその一部にうっ滞性の浮腫(ふしゅ)を生ずることがあり、これを産瘤という。普通は紫色で、しばしば点状出血を伴う。頭位の分娩が多いので、頭頂部にみられる場合がもっとも多い。分娩直後に著明であるが、出生後24時間前後で消失する。
なお、新生児頭血腫(とうけっしゅ)も同じく頭部に生ずる腫瘤であるが、これは頭蓋骨(とうがいこつ)の骨膜下出血であり、皮下組織内のうっ血や浮腫である産瘤とは異なる。また頭血腫は、生後2~3日で著明となり、消失までに1~3か月かかることでも区別される。
[新井正夫]
… 児頭の頭蓋骨は縫合によりゆるく結合しているために,比較的狭い産道を通過する際に児頭の左右頭頂骨は多少重なり合い,圧を強く受ける側が圧の弱い側の下に入り,児頭は長軸方向に延長される。児頭は陣痛により圧迫されるが,破水後は児頭先進部は大気圧を受けるのみで,子宮内にある胎児部分に比べて陰圧となるので,児頭先進部に鬱血(うつけつ)をきたし産瘤(さんりゆう)を形成する。産瘤は分娩後24時間~36時間で消失する。…
※「産瘤」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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