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田園の憂鬱 でんえんのゆううつ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

田園の憂鬱
でんえんのゆううつ

佐藤春夫短編小説。 1917~19年発表。 17年作品5編を集めて『病める薔薇』として発表,翌 18年その続編を『田園の憂鬱』として発表,さらに 19年に『或る晩に-「田園の憂鬱」の未発表部分-』を書いたうえ,同年定本『田園の憂鬱』として刊行した。若い芸術家の内面を鋭敏な詩人的感覚を駆使して描き,小説家としても認められるにいたった作者の代表作姉妹編に『都会の憂鬱』 (1922) がある。

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デジタル大辞泉の解説

でんえんのゆううつ〔デンヱンのイウウツ〕【田園の憂鬱】

佐藤春夫の小説。大正8年(1919)定本刊行。武蔵野の田園での生活を背景に、倦怠と憂鬱の心情を描く。

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百科事典マイペディアの解説

田園の憂鬱【でんえんのゆううつ】

佐藤春夫の小説。1917年,前半を《病める薔薇(そうび)》として《黒潮》に発表,1919年《田園の憂鬱》として加筆改稿のうえ刊行した。世紀末的な不安と憂愁に閉ざされた青年詩人の田園生活を叙した幻想的な散文詩風の作品。

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世界大百科事典 第2版の解説

でんえんのゆううつ【田園の憂鬱】

佐藤春夫中編小説。1917年(大正6)雑誌《黒潮》に《病める薔薇(そうび)》の題で冒頭の部分が発表され,のち改題して改稿加筆され,19年新潮社刊。都会生活に疲れた文学志望の青年が,妻と犬と猫を連れて武蔵野の田園に移り住み,日陰に見いだしたバラの株に〈薔薇(そうび)ならば花開かん〉というゲーテの詩句を託して手を入れ,自身の芸術的開花を占おうとするが,夏から秋にかけての田園の無聊(ぶりよう)に苦しみ,やがてふくらんだバラのつぼみはすべて虫食いだった。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

田園の憂鬱
でんえんのゆううつ

佐藤春夫の短編小説。前半部分を『病める薔薇(そうび)』の題で1917年(大正6)6月の『黒潮(こくちょう)』に発表。いちおう完成させ18年9月の『中外』に『田園の憂鬱』の題で掲載、同年11月天佑(てんゆう)社刊の処女創作集『病める薔薇』に収録。定本版『田園の憂鬱』を19年6月、新潮社刊。武蔵野(むさしの)の南端の田園での生活を背景に、妻と二匹の犬との電灯もない簡素な日常、自然との新鮮な交感、そこから生まれる憂鬱と倦怠(けんたい)の心情を、緻密(ちみつ)な散文世界に移し、近代人の内面をみごとに定着させた作品。小説的ドラマはないが、心境の陰翳(いんえい)を詳細にたどるその方法には、大正期の新しい感性の息吹が感じられ、作者のみならず大正文学の代表作の一つである。[中島国彦]
『『田園の憂鬱』(岩波文庫)』

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