性格的に偏倚(へんい)のあるものをいう。しかし、今日では広く社会的不適応者のもつパーソナリティーを含めて異常人格ということばが用いられている。偏倚というのであるから、プラス面を考えるなら天才的才能をもつ人をも異常人格とみることもできる。ただ、異常性格ということばには病的な意味があるので(たとえば、シュナイダーの精神病質人格のように)、むしろ社会的不適応者という広い意味で、異常人格ということばを使用している場合が多い。
異常性格の原因には遺伝的、素質的なものや、個体発生のあらゆる時期に生起した外因性障害や、心理的影響を及ぼすと考えられる環境などが考えられる。異常性格は、精神病のように一定の時期に発現し、一定の経過をたどるというのではなく、生後比較的一貫してみられるのが特徴である。
[本明 寛]
異常性格の類型化を試みた学者は少なくないが、クレッチマーが、精神分裂病(統合失調症)と循環精神病の病前性格を、〔1〕分裂性気質、〔2〕循環性気質(そううつ性気質)としたことはよく知られている。そして、さらに〔3〕粘着性気質(てんかん性気質)を加え、これら三つの気質の基礎として次の傾向をあげている。すなわち、〔1〕の分裂性気質は、(a)非社交的、静か、控え目、まじめ、変心、(b)臆病(おくびょう)、恥ずかしがりや、敏感、神経質、興奮しやすい、鈍感、愚鈍といった特性がある。とくに、自閉症的傾向といえる(a)は主要なものである。また、〔2〕の循環性気質としては、(a)社交的、善良、親切、温厚、(b)明朗、ユーモア、活発、激しやすい、(c)寡黙、平静、陰うつ、気が弱いなどで、このタイプの特徴は感情の交代が強くみられる点である。〔3〕の粘着性気質(てんかん性気質)は、(a)固執性、熱中性、きちょうめん、秩序を好む、(b)考え方が回りくどい、融通がきかない、ていねい、(c)爆発的に怒る、かたくな、などである。なお、クレッチマーは、これらの〔1〕〔2〕〔3〕のタイプに、細長型(分裂性気質)、肥満型(循環性気質)、筋骨型(粘着性気質)がそれぞれお互いに対応すると主張した。
それ以前にクレペリンは、精神病質人格は病前性格という健康者と異常者の中間にあるものと考えて、興奮型、不安定型、衝動型、奇矯型、虚言詐欺師型、反社会型、好争型等の7種類をあげた。また、シュナイダーは10種に分類している。
精神病質人格でも病前性格でも、これは精神病の類型ではなく、性格の類型である。今日、類型学に対する批判が強まり、異常性格の類型を問題にする人が少なくなっている。むしろ、不適応のもつ持続的傾向という視点から、異常性格を考えようとするようになった。
[本明 寛]
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加