無差別爆撃(読み)ムサベツバクゲキ(英語表記)carpet bombing

翻訳|carpet bombing

デジタル大辞泉 「無差別爆撃」の意味・読み・例文・類語

むさべつ‐ばくげき【無差別爆撃】

軍隊・兵器工場などの軍事目標と、一般市民や民間施設を区別せずに行う爆撃。非人道的な行為であるとして、国際法上では違法とされる。

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精選版 日本国語大辞典 「無差別爆撃」の意味・読み・例文・類語

むさべつ‐ばくげき【無差別爆撃】

  1. 〘 名詞 〙 軍事目標と非軍事目標との差別をせずに行なう爆撃。
    1. [初出の実例]「ベルリンなどを、無差別爆撃をした」(出典:記念碑(1955)〈堀田善衛〉)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「無差別爆撃」の意味・わかりやすい解説

無差別爆撃
むさべつばくげき
carpet bombing

兵力その他の軍事的目標と、一般の人民民生とを区別せずに行う空中爆撃で、国際法上は一般的に禁止されている違法な攻撃にあたる。軍隊、軍事工作物、軍事建築物、貯蔵所、武器弾薬など明らかな軍需品を製造する軍需工場、軍事用に使用される交通線・運輸機関などは軍事目標物として、その所在のいかんにかかわらず攻撃は適法である。また、これらに対する爆撃に際し、故意ではなく、付随的に平和的人民や財産に害を及ぼすことも違法ではない。これに反して、両者の区別なしに攻撃を加えることは違法になる。ただ最近は軍事目標も多岐にわたって、戦争に関連する人員や施設の範囲が広がっていることと、核兵器のように破壊力が強大で、被害範囲の大きいものが出現したことから、厳密に区別することが困難になっている。しかし、明らかに軍事目標以外の範囲まで破壊力の及ぶ手段は、適法と解釈することは困難であろう。

[青木謙知]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「無差別爆撃」の意味・わかりやすい解説

無差別爆撃
むさべつばくげき
indiscriminate bombing

軍事目標と非軍事的な施設や民衆とを区別することなく爆撃すること。元来はハーグ陸戦規則や海戦規則の国際法で禁じられているものとされるが,これらの規定は航空機の今日のような発達や,原水爆の出現以前に締結されたものであるから,厳密には適用できないという考え方もある。 1923年日本,アメリカ,イギリス,フランス,イタリア,オランダの6ヵ国で審議された「空戦に関する規則」はより明確に無差別爆撃の違法性を規定しており,現在一応の規準となっているが,これは草案にとどまっている。近代国家における生産力の発達と国民的軍隊の創設によって,軍事力の破壊だけでは戦争の終結がつかなくなり,総力戦の様相を呈するようになった。それに伴って戦争手段も生産力の破壊,国民の戦意喪失が必要となり,規定は守られていない。第2次世界大戦でのドイツのV兵器攻撃,アメリカの広島,長崎への原子爆弾投下,ベトナム戦争でのアメリカの爆撃など,いずれも戦略上正当視する見解から,人道上無条件に否定する考え方まで議論が分れている。

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百科事典マイペディア 「無差別爆撃」の意味・わかりやすい解説

無差別爆撃【むさべつばくげき】

軍事目標と平和的な民間人やその財産とを区別せずに行う爆撃。国際法上禁止された行為と解され,1922年の空戦法規案でも禁止を明記している。しかし技術的に困難なことなどから一般には禁止規定は守られていない。

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改訂新版 世界大百科事典 「無差別爆撃」の意味・わかりやすい解説

無差別爆撃 (むさべつばくげき)

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世界大百科事典(旧版)内の無差別爆撃の言及

【軍事目標主義】より

…戦争において,軍事目標と非軍事物を区別し,前者に対する砲爆撃のみを許容するという国際法上の原則。つまり無差別的な砲爆撃(無差別爆撃)の禁止である。この主義は1907年ハーグ陸戦規則25条に無防守都市(無防備都市)に対する攻撃・砲撃の禁止として表現され,空戦について23年ハーグ空戦規則(案)24条は,空中爆撃が軍事目標に対して行われる場合にのみ適法であるとした。…

※「無差別爆撃」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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