疎開・疏開(読み)そかい

精選版 日本国語大辞典 「疎開・疏開」の意味・読み・例文・類語

そ‐かい【疎開・疏開】

〘名〙
① とどこおりなく通じること。開き通じること。また、木の枝を刈り込んでまばらにすること。疎通。〔漢英対照いろは辞典(1888)〕
軍隊で、敵の砲弾からの危害を少なくするため、分隊、小隊、中隊などが相互の距離間隔を開くこと。〔大日本兵語辞典(1921)〕
空襲・火災などの被害を少なくするため、都市などに密集している建造物や住民を分散すること。
※断腸亭日乗〈永井荷風〉昭和一八年(1943)一二月三一日「疎開と云ふ新語流行す民家取払のことなり」
[語誌](1)明治時代から見える語だが、当初はもっぱら①の意で使われた。
(2)大正から昭和初期にかけて②の軍隊用語として定着したが、第二次世界大戦が始まると、③の意で一般社会でも用いられた。
(3)③には「生産疎開」「建物疎開」「人員疎開」の三種類があるが、これは大戦下のソ連における工業施設疎開や、ドイツのベルリンで行なわれた人口疎開に学んで実施されたもの。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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