疾風怒濤(読み)シップウドトウ(その他表記)Sturm und Drang

翻訳|Sturm und Drang

デジタル大辞泉 「疾風怒濤」の意味・読み・例文・類語

しっぷう‐どとう〔‐ドタウ〕【疾風怒×濤】

激しく吹く風と、激しく打ち寄せる大波
シュトゥルム‐ウント‐ドラング

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精選版 日本国語大辞典 「疾風怒濤」の意味・読み・例文・類語

しっぷう‐どとう‥ドタウ【疾風怒濤】

  1. 〘 名詞 〙 強い風とさかまく荒波。また比喩的に、非常に困難な状況
    1. [初出の実例]「船を大洋に航して颶に遇ひ其疾風怒濤を截て」(出典:明六雑誌‐一〇号(1874)真為政者の説〈杉亨二〉)

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旺文社世界史事典 三訂版 「疾風怒濤」の解説

疾風怒濤
しっぷうどとう
Sturm und Drang

1770〜80年代のドイツにおこった文学運動。「シュトゥルム−ウント−ドランク」
自然と個性尊重をうたい,これを束縛するすべての因襲 (いんしゆう) ・不自然を排し,自然美の嘆賞民謡への素朴な愛,人間的感情本然発露を求めた。若い時代ゲーテシラー作品にみられる傾向で,これを機にドイツ文学は国民的自覚をもち,自立するに至った。

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四字熟語を知る辞典 「疾風怒濤」の解説

疾風怒濤

強い風とさかまく荒波。また比喩的に、非常に困難な状況。

[使用例] 女の単純さの裏には、俺が想像している以上の疾風怒濤をくぐりぬけてきたものが風化している[立原正秋*美しい村|1963]

[使用例] 七世紀は疾風怒濤の時代です。中大兄政権を握ると、革新の嵐は日本中を吹きまくりました[田辺聖子*文車日記|1974]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「疾風怒濤」の解説

「疾風怒濤」(しっぷうどとう)
Sturm und Drang

1770年代のドイツ文学における革新的運動をいう。この呼称同時代の劇作家クリンガーの同名の戯曲に由来する。人間性の自由な発展を求め感情の解放を叫ぶこの運動は,ゲーテシラーらによって推進されたが,熱病的であって急速に衰えた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「疾風怒濤」の意味・わかりやすい解説

疾風怒濤
しっぷうどとう

「シュトゥルム・ウント・ドラング」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の疾風怒濤の言及

【シュトゥルム・ウント・ドラング】より

…その名称は,クリンガーの同名の戯曲に由来する。〈天才時代〉とも呼ばれ,日本では〈疾風怒濤(どとう)〉と訳された。新しい生活感情と人生経験に基づき,合理的世界観と形式的秩序を重視する啓蒙主義の修正を目ざす芸術的革命運動である。…

【ロマン主義】より

…一方,スコットランドの過去の歴史をよみがえらせ,中世騎士道精神と郷土愛を賞揚するスコットの一連の歴史小説Waverley Novelsは,歴史学と小説に中世賛美の機運を興し,過去の時代の精確な生き生きとした描写を目ざす一種のロマン主義的写実主義とも称すべき傾向を生み,ユゴーの《ノートル・ダム・ド・パリ》やメリメの《シャルル9世年代記》,あるいはミシュレの《フランス史》等に影響を与えた。 ドイツでは,1770年ころからフランスの文化支配を脱し,啓蒙主義に対抗して個人の感性と直観を重視する反体制的な文学運動シュトゥルム・ウント・ドラング(疾風怒濤)が展開されたが,そのほぼ20年後にシュレーゲル兄弟,ティーク,シュライエルマハーらによって提唱されたロマン主義文学理論は,この運動の主張を継承し,フランス古典主義に対抗するものとしてのロマン主義を明確に定義づけ,古代古典文学の再評価とドイツに固有の国民文学の創造を主張した。フィヒテやヘーゲルの観念論哲学と密接な関係をもったドイツ・ロマン主義文学は,自我の内的活動の探究,夢と現実あるいは生と死の境界領域の探索,イリュージョンの形成と自己破壊(アイロニー)などを主題とするきわめて観念論的かつ神秘主義的な色彩を帯び,ノバーリス,J.P.リヒター,ホフマンらの幻想的な作品を生み出した。…

【ロマン派演劇】より


[ドイツにおけるロマン派演劇]
 演劇におけるロマン主義の時代区分は,他のジャンルの場合とはやや異なるものの,およそ1770年代から1830年代までと考えてよかろう。なぜなら1770年代にドイツに起こった疾風怒濤(しつぷうどとう)(シュトゥルム・ウント・ドラング)の運動は,他のヨーロッパ諸国のロマン主義に与えた影響から考えると,広義のロマン派と呼びうるからである(ただドイツにおいては,疾風怒濤期以後に古典主義が成立し,またさらにロマン派が生まれ,疾風怒濤の代表作家だったゲーテシラーらが古典主義を確立して,ロマン派と対立するというやや特殊な事情も存在する)。疾風怒濤派は,とくに劇文学において,〈三統一〉の法則を典型とする古典主義の〈法則の強制〉に反発し,啓蒙的な合理主義に対して感情の優位を主張して,シェークスピアを天才的で自由な劇作の典型として崇拝した。…

※「疾風怒濤」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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