小説家。大阪市生まれ。樟蔭(しょういん)女子専門学校(現、大阪樟蔭女子大学)国文科卒業。明治・大正・昭和の三代をたくましく生き抜く大阪女を描いた『花狩(はなかり)』(1958)が懸賞小説に当選、ラジオドラマ作家としても活躍し、『感傷旅行(センチメンタル・ジャーニイ)』(1964)で第50回芥川(あくたがわ)賞受賞。1966年(昭和41)医師川野純夫(すみお)(1924―2002)と結婚。自伝的小説の『私の大阪八景』(1965)、エッセイ『女の長風呂(ながぶろ)』(1973)、『千(ち)すじの黒髪――わが愛の与謝野晶子(よさのあきこ)』(1972)、長編『求婚旅行』上・中・下(1973~1974)、中年男女をユーモラスに描いた『すべってころんで』(1973)、『文車(ふぐるま)日記――私の古典散歩』(1974)、『古事記』を舞台に恋の悲劇を描いた『隼別(はやぶさわけ)王子の叛乱(はんらん)』(1977)、自伝『欲しがりません勝つまでは――私の終戦まで』(1977)、日本のシンデレラ物語『舞え舞え蝸牛(かたつぶり)――新落窪(おちくぼ)物語』(1977)、『新源氏物語』全5巻(1978~1979)、『中年ちゃらんぽらん』(1978)、『姥(うば)ざかり』(1981)、芥川賞受賞までを描いた自伝的長編『しんこ細工の猿や雉(きじ)』(1984)、『花衣(はなごろも)ぬぐやまつわる…――わが愛の杉田久女(ひさじょ)』(1987。女流文学賞)、『ひねくれ一茶(いっさ)』(1992。吉川英治文学賞)、『道頓堀(どうとんぼり)の雨に別れて以来なり――川柳(せんりゅう)作家・岸本水府(すいふ)とその時代』上・下(1998。泉鏡花文学賞、読売文学賞)など、古典の小説化、伝記小説、歴史小説、現代小説、ハイミスものと旺盛(おうせい)な創作活動を展開。大阪ことばを駆使した、ユーモアと批評精神溢(あふ)れるストーリー・テラーであった。
日本文芸大賞(1990)、菊池寛賞(1994)、紫綬褒章(しじゅほうしょう)(1995)を得、2000年(平成12)文化功労者、2008年文化勲章受章。
[橋詰静子]
『『田辺聖子長篇全集』全18巻(1981~1982・文芸春秋)』▽『『田辺聖子珠玉短篇集』全6巻(1993・角川書店)』▽『『ベスト・オブ・女の長風呂1 イブのおくれ毛』『ベスト・オブ・女の長風呂2 深夜のヒマ人』『ベスト・オブ・女の長風呂3 ああカモカのおっちゃん』(1995・文芸春秋)』▽『『姥ざかり花の旅笠――小田宅子の「東路日記」』(2001・集英社)』▽『『感傷旅行』(角川文庫)』▽『『花狩』『貞女の日記』『隼別王子の叛乱』『すべってころんで』『道頓堀の雨に別れて以来なり――川柳作家・岸本水府とその時代』上中下(中公文庫)』▽『『千すじの黒髪――わが愛の与謝野晶子』『求婚旅行』1~3『舞え舞え蝸牛――新落窪物語』『しんこ細工の猿や雉』(文春文庫)』▽『『中年ちゃらんぽらん』(講談社文庫)』▽『『文車日記――私の古典散歩』(新潮文庫)』▽『『私の大阪八景』(岩波現代文庫)』▽『『花衣ぬぐやまつわる…――わが愛の杉田久女』上下(集英社文庫)』▽『『ゆめはるか吉屋信子』上下(朝日文庫)』▽『荒木経惟著『わが愛と性――荒木経惟vs. 田辺聖子』(1982・創樹社)』▽『文芸春秋編・刊『女の華やぎ――田辺聖子の世界』(1986)』▽『浦西和彦著『田辺聖子書誌』(1995・和泉書院)』
(2019-6-13)
出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...
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