病児保育(読み)ビョウジホイク

デジタル大辞泉 「病児保育」の意味・読み・例文・類語

びょうじ‐ほいく〔ビヤウジ‐〕【病児保育】

突発的な発熱風邪などで保育所が預かれない子供を、保護者委託を受けて一時的に預かる施設サービス。また、保育士看護師医師栄養士などの専門家が連携して、病気にかかっている子供の保育看護を行うこと。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「病児保育」の意味・わかりやすい解説

病児保育
びょうじほいく

病気にかかった子供に対し,医療機関や保育所に併設された専用施設などで,看護保育をあわせて施すこと。病気の回復期にあって集団生活ができない子供を対象とするものは,特に病後児保育とも呼ばれる。保育士ほか看護師保健師などの医療従事者が実施にあたり,その配置数が定められている。1966年,東京都世田谷区の民間保育所で,保護者らの手によって始められた病児保育室が嚆矢。1995年,政府の少子化対策事業であるエンゼルプランのもと,乳幼児健康支援デイサービス事業の名で,市区町村を実施主体として事業が開始された。その後,乳幼児健康支援一時預かり事業,2008年には病児・病後児保育事業と改称された。2015年,それまで未就学児のみだった対象児童小学生が加わり,また児童福祉法のなかで病児保育が定義され,第2種社会福祉事業とされた。以下の四つの類型がある。(1) 病児対応型 病気の回復期にいたらないが,当面症状が急変しないとみられる子供を対象とする,(2) 病後児対応型 病気の回復期で,集団保育が困難な子供を対象とする,(3) 体調不良児対応型 保育中に体調不良となった子供を対象とし,保育所などで緊急的に対応する,(4) 非施設型 子供の自宅において,病気または病気の回復期の子供を対象とする。2015年現在,病児保育を行なう施設数は約 1800。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「病児保育」の意味・わかりやすい解説

病児保育
びょうじほいく

病気にかかっている子供に専門家が保育と看護を同時に行うこと。一般的には、保育園に通う子供が風邪(かぜ)などの軽い病気の回復期にあって普段通りの通園ができないときに預かる「病後児保育」も含む。病状に応じて保育士、看護師、医師、栄養士といった、さまざまな専門家によるケアが必要であり、子供の状態にしたがって預けられる施設は3種類に区分され、保育士と看護師の配置が義務づけられている。(1)病院、保育所などに付設された専用スペースで看護師などが病児(10歳未満)を預かる病児対応型、(2)同じく病後児(10歳未満)を預かる病後児対応型、(3)保育所において体調を崩した児童を一時的に預かる体調不良児対応型(自園型)。2008年(平成20)には全国1164か所(病児対応322、病後児対応523、体調不良児対応319)の施設がある。

 これらの施設以外に、全国の市町村には、子育ての支援が必要な親と援助可能な人材を結び付けるファミリー・サポート・センターがあり、2009年度から病児や病後児の預かりができるように仕組みが整えられた。また、首都圏には病児保育サービスを提供する民間の団体もある。しかし、病児保育事業を行っている施設は、共働き世帯の増加により全国的に不足している。また、施設によって医療と保育の機能が異なるが、病気の子供を抱えた利用者にとってはその違いがわかりにくい。今後は利用料の補助も含め、子育て家庭に対するセーフティネットとして、利用しやすい環境づくりが求められる。

[編集部]

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