早産で出生した低出生体重児や何らかの疾患をもって出生した新生児の成長発達を促すためのケア。発達促進ケア、ディベロップメンタルケアともいい、英語表記の頭文字をとってDCと略す。外的刺激によるストレスを可能な限り排除し、母親の胎内に近い環境を整えて発達を支援する。ケアの対象には重度障害児の長期入院も含まれる。低出生体重児や疾患をもつ新生児は新生児集中治療室(NICU:neonatal intensive care unit)に収容されることが多いが、発達ケアとして、新生児への光刺激や音刺激に配慮し、母親の胎内にいるときに近い体位で寝かせるポジショニング(姿勢調整)、体位変換やオムツ交換などでストレスがかからないようていねいに扱うハンドリングなどを行う。具体的には、NICUの照度を低く保ち、保育器に暗幕をかけるなど光刺激を抑えることで睡眠時間を確保し、酸素投与量の調整など未熟児網膜症に陥るリスクにも配慮する。さらに、医療機器のモニター音やアラーム音を低くするなどの対策を施して騒音による刺激を抑えて安静を保ち、また過剰な処置を控えることなどにより外的ストレスを軽減する。同時に、新生児のストレス対処行動のパターンを個別に認識してケアパターンを調整する。さらに、家族の協力を得て、肌で触れ合うなど情緒的支援(カンガルーケア、早期母子接触)やマッサージなどのタッチケアを行う。ポジショニングは、バスタオルやシーツまたは砂嚢(さのう)などを利用し、母親の胎内にいるときに近い背中をまるめた体位にするなどにより、新生児の安静を保つとともに睡眠を確保する。日本ディベロップメンタルケア研究会では定期的にセミナーなどを開き、実践について講演を行うなど啓発に努めている。
[編集部]
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