早期母子接触(読み)ソウキボシセッショク

デジタル大辞泉 「早期母子接触」の意味・読み・例文・類語

そうき‐ぼしせっしょく〔サウキ‐〕【早期母子接触】

通常出産で生まれた新生児を、分娩室で母親に抱かせること。母子が直接肌を触れ合うことで、母乳分泌が促進される、母子の絆が深まるなどの効果があるとされるが、出生直後の新生児は呼吸循環機能が不安定であるため注意深い観察と十分な管理が必要。→カンガルーケア

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

共同通信ニュース用語解説 「早期母子接触」の解説

早期母子接触

1970年代に保育器が足りない南米で「カンガルーケア」として始まり、日本では90年代に新生児集中治療室(NICU)を中心に普及。2000年代に入り分娩ぶんべん室にも広がった。母子の心身の安定につながるとされるほか、赤ちゃんの呼吸や血糖値が安定するとの研究結果がある一方、赤ちゃんが急変して障害が残ったとして親が訴訟を起こすケースも相次いだ。日本周産期・新生児医学会など8団体は12年10月、出生直後は母子接触の実施の有無にかかわらず急変の可能性があるため、注意深い観察と十分な管理が必要とした上で、母子接触実施の際の留意点を公表した。

更新日:

出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「早期母子接触」の意味・わかりやすい解説

早期母子接触
そうきぼしせっしょく

出生直後から母子が直接肌を触れ合い交流する育児法。母子の絆(きずな)が強まり、母乳保育も進みやすいとされる。一般的には、カンガルーケアkangaroo careともよばれている。カンガルーケアは、1978年に南アメリカ、コロンビアの首都ボゴダにおいて保育器不足への対策から生まれ、低出生体重児の死亡率低下や養育遺棄の減少などの効果がみられたことから世界中に広まった。日本では、1996年に聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院周産期センターが導入したのをきっかけとして全国に普及した。

 2012年(平成24)10月、日本周産期・新生児医学会、日本産科婦人科学会など8団体は厳密には「早期母子接触」と「カンガルーケア」を区別すべきだとの要望書を厚生労働省に提出した。それによると、早期母子接触は、出産直後の新生児を母親が分娩(ぶんべん)室で抱く育児で、カンガルーケアは新生児集中治療室(NICU)でケアする低出生体重児の保育に限定する、とされている。

 看護師が見守るカンガルーケアに対し、分娩室での早期母子接触は母親任せが少なくなく、新生児の容体が急変することがまれにあり、トラブルにつながることもある。新生児の体温や呼吸状態、母親の体勢などを十分に観察し、看護師や助産師が付き添って安全を図る必要がある。前記要望書には、カンガルーケアは語感から安全とのイメージが強いため、早期母子接触という表現で注意を喚起すべきだ、との考えが盛り込まれている。

[田辺 功]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

イチロー

[1973~ ]プロ野球選手。愛知の生まれ。本名、鈴木一朗。平成3年(1991)オリックスに入団。平成6年(1994)、当時のプロ野球新記録となる1シーズン210安打を放ち首位打者となる。平成13年(...

イチローの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android