四訂版 病院で受ける検査がわかる本 「白血球分類」の解説
白血球分類
基準値
好中球
分葉核球:40~70%
好酸球 : 2~ 5%
好塩基球 : 0~ 2%
リンパ球 :15~60%
単球 : 3~10%
■図1 白血球の生成過程
■表1 白血球の変動する病態
《好中球》
[増加]
・感染症:細菌・真菌・ウイルス感染症
・血液疾患:急性出血、骨髄増殖性疾患(慢性骨髄性白血病など)
[減少]
・感染症:チフス、多くのウイルス感染症、強度の感染症
《リンパ球》
[増加]
・感染症:ウイルス感染症、梅毒
・血液疾患:リンパ球性白血病
[減少]
・感染症:急性感染症の初期
・破壊亢進:副腎皮質ホルモンの増加、放射線療法
・遺伝性免疫不全
《好酸球》
[増加]
・アレルギー:気管支喘息、アトピー性皮膚炎、食物・薬物アレルギー
・感染症:寄生虫、クラミジア
[減少]
・ストレス
・内分泌疾患:クッシング症候群
《単球》
[増加]
・血液疾患:慢性骨髄性白血病、単球性白血病、ホジキン病
[減少]
・薬剤:副腎皮質ホルモン
・感染症:重症感染症
5種類の白血球から、さまざまな病気を診断する検査
人の血液中には、5種類の白血球(
この検査を白血球分類と呼び、白血球分類機構を備えた自動血球計数器で測定されます。
また、採血液を直接ガラス上に塗抹・染色して、顕微鏡下で白血球を観察・算定する方法もあります。検査当日の飲食は普通で大丈夫です。
いくつもの段階をへて、一人前になる白血球
5種類の白血球が生まれてくる過程のおおよそを、左の図1に示しました。白血球は骨髄の幹細胞からつくられ、大きく骨髄系とリンパ系に分けられ、骨髄系はさらに
幹細胞から生まれ出た最も未熟な細胞を
それぞれが段階をへて、一人前になっていきます。例えば、顆粒球系は、まず前骨髄球で好酸性の顆粒、好塩基性の顆粒、この2つの顆粒をもつ顆粒の3つのタイプに分かれます。これらはそれぞれ好酸球、好塩基球、好中球と呼ばれます。そして、それぞれが骨髄球→後骨髄球へと分化してからやっと血液中に入り、さらに
血液中に存在する白血球を成熟白血球と呼び、それ以前のものを未熟白血球と呼びます。最も多い成熟白血球は好中球で、検査では好中球は、桿状核球と分葉核球に分類して測定します。
未熟白血球(芽球)が増加・出現したら重症
各種白血球は、左の表1に示したように、さまざまな病気で増減します。好塩基球については、その機能の詳細がまだ十分にわかっていません。
健康な人の血液中には成熟白血球が出現するだけで、これより前の未熟な白血球が出現している場合は感染症、組織の炎症・破壊などを考えます。
さらに、最も未熟な芽球が出現して増加する場合は重篤な病態で、その代表が白血病です。骨髄
医師が使う一般用語
「ディッフ」=differentiation(分類)から
出典 法研「四訂版 病院で受ける検査がわかる本」四訂版 病院で受ける検査がわかる本について 情報