中国、西晋(せいしん)時代の竺法護(じくほうご)が翻訳したと伝えられる漢訳経典の一つ。1巻。この経に基づいて、東アジアの漢訳仏教圏では盂蘭盆会(え)という仏教行事が広く行われている。しかしサンスクリット本はもちろん、チベット訳もなく、竺法護訳とする伝承も疑わしい。西域(せいいき)地方か中国でつくられた経(いわゆる偽経(ぎきょう))と思われる。経のテーマは目連(もくれん)救母の説話で、餓鬼道(がきどう)に落ちて苦しむ目連尊者の母親が7月15日の盂蘭盆供養(くよう)によって救済されるというもの。盂蘭盆は後世の解釈では、サンスクリット語ウランバナullambana(倒懸(とうけん))の音訳とされるが、経ではすでに盆器の意味に用いられている。
[岡部和雄]
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