指名委員会等設置会社(読み)シメイイインカイトウセッチガイシャ

  • しめいいいんかいとうせっちがいしゃ〔シメイヰヰンクワイトウセツチグワイシヤ〕

デジタル大辞泉の解説

取締役会の中に、会社経営の監督役として、社外取締役過半数を占める3つの委員会(指名委員会監査委員会報酬委員会)を置く株式会社。業務執行担当として、取締役とは別に執行役が置かれる。平成15年(2003)「委員会等設置会社」の名称で導入。平成18年(2006)会社法施行に伴い「委員会設置会社」に改称。平成27年(2015)から現名称となる。
[補説]指名委員会は取締役の選任・解任案を決め、監査委員会は取締役・執行役の職務執行を監査し、報酬委員会は取締役・執行役の個人別の報酬などを決める。取締役会は経営方針を決定し、執行役を選任・監督するが、日常業務の執行には関与しない。業務執行と監督機能を分離することにより、コーポレートガバナンスの向上を図ることができるとされる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

会社経営について、業務執行機能と経営監督機能を完全に分離するとともに、取締役会のなかに指名、監査報酬の3委員会を設けて経営を監視する形態をとる株式会社(会社法2条12号)。不正を起こさずに持続的に成長するよう経営を監視する企業統治(コーポレートガバナンス)のための一つの経営形態である。アメリカの大手総合エネルギー会社エンロンが不正会計で破綻(はたん)した事件の反省から生まれたアメリカ型企業統治を参考に、日本では2003年(平成15)の改正商法で「委員会等設置会社」として導入され、2006年の会社法施行で「委員会設置会社」と改称し、2015年の改正会社法施行で現名称となった。
 従来型の株式会社(会社法では「監査役会設置会社」とよぶ)は取締役が業務を執行し、それを監査役が監督する形態をとる。これとは異なり、指名委員会等設置会社は日常の業務執行は取締役会とは別の執行役が担当し、取締役はその監督や経営の基本方針の決定に徹する。つまり業務執行機能と経営監督機能を峻別(しゅんべつ)することで、経営の透明性が確保できるとされている。取締役会内に3委員会の設置を義務づけ、指名委員会は株主総会に提出する取締役の選任・解任に関する議案を決定し、監査委員会は取締役・執行役の職務が適切に行われているかを点検し、報酬委員会は役員報酬を決める。各委員会は3人以上の取締役で構成し、社外取締役が過半数を占めねばならない。委員会の決定は法的拘束力をもつとされる。監査役は設置できない。これにより株主利益を擁護する外部の目で経営を監督することが可能になるとされている。指名委員会等設置会社へ移行するには、株主総会の承認が必要である。
 日本では、人事や報酬を部外者が決める指名委員会等設置会社への抵抗感が強く、2018年5月時点で、上場企業のうち指名委員会等設置会社は72社と全体の約2%にとどまる。なお日本の企業統治の形態には、指名委員会等設置会社のほか、2人以上の社外取締役が過半数を占める委員会が経営監視する「監査等委員会設置会社」や、議決権をもたない監査役が経営を監査する「監査役会設置会社」の3形態がある。監視機能は指名委員会等設置会社がもっとも強く、監査等委員会設置会社、監査役会設置会社の順で緩くなるとされている。つまり監査等委員会設置会社は指名委員会等設置会社と監査役会設置会社の中間的な位置づけであり、日本では監査等委員会設置会社の採用が広がっている。[矢野 武]

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