仏教の用語。弟子が師より正法をうけ,さらにこれを後につづく弟子に伝えること。相互に継承する意。師資相承ともいう。仏陀の滅後,特定の弟子に教法や戒律を伝えたのに始まり,中国で宗派が成立すると,各派それぞれに列祖の相承を説くようになる。天台の金口,今師,九師の三種相承は,その代表であり,経典によらない禅は,西天二十八祖と唐土の六祖を立て,相承の物証として,衣や鉢の伝授を主張するが,別に真理の言葉としての伝法偈や,正法眼蔵の相承を説いて,伝灯,血脈,または逓代伝法とよぶ。いずれも,秘伝を重んじ,師の印可を第一とするとともに,これを証する印可状の製作を伴うに至る。日本でも,真言密教に相承譜があり,天台に内証仏法相承血脈があり,道元に嗣書があり,浄土真宗に七祖相承があり,日蓮宗に内外二種曼荼羅の相承があり,さらに,そうした師資相承は,仏教に限らず,神道や儒学,文学,芸能,工芸の諸家に拡大し,一種の特許制度の意を含んで,免状,許状が発行される。
執筆者:柳田 聖山
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…浄土宗ではこれに加行を課する。天台宗では最澄の《内証仏法相承血脈(そうじようけちみやく)譜》があって,相承(そうじよう)と呼んでいるが,いずれも伝法には血脈(けちみやく)がつくのが仏教伝法の特色である。これは現在の伝法が教主釈尊,または各宗祖師から,血統のごとくに相続されてきたものを伝えるのだという意識を表明するからである。…
※「相承」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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