デジタル大辞泉
「一心三観」の意味・読み・例文・類語
いっしん‐さんがん〔‐サングワン〕【一心三観】
天台宗の観想法。一切の存在には実体がないと観想する空観、それらは仮に現象していると観想する仮観、この二つも一つであると観想する中観を、同時に体得すること。円融三観。
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いっしん‐さんがん‥サングヮン【一心三観】
- 〘 名詞 〙 仏語。天台宗で説く観法(かんぽう)。一切の存在には実体がないと観ずる空観(くうがん)と、一切の存在は仮に現象するものであると観ずる仮観(けがん)と、この空仮の二観を別々のものとしない中観(ちゅうがん)との三観を、一思いの心に同時に観じ取ること。
- [初出の実例]「御心中に秘せられたりし一心三観の血脉相承をさづけらる」(出典:平家物語(13C前)二)
- [その他の文献]〔摩訶止観‐五・上〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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一心三観【いっしんさんがん】
天台で説く最も重要な観法。すべての事象・存在がそのまま相対思惟(しい)を越えた真実の理法にかなうことを体得するためのもの。一瞬の心のうちに,空観,仮観(けかん),中観の三観が成立する。空観は我執を否定し超脱した境地,仮観は空観を体得したうえで世俗にはいって衆生を救うもの,中観は前二観にとらわれず,しかも両観を用いる立場である。この三観は竜樹の思想を実践しようとするものである。
→関連項目円融三諦
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一心三観
いっしんさんがん
天台宗の瞑想法の一つ。あらゆる事象が相対を超えた仏教の絶対的真理にかなっていることを体得すること。現象世界を否定的にあつかう空観 (くうがん) ,肯定的にとらえる仮観 (けがん) ,この両者がともにそなわってはじめて真理を把握しうるとする中観 (ちゅうがん) の三観を,ひと思いに一時に観念すること。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の一心三観の言及
【慧文】より
…生没年,生地ともに不明だが,その下に南岳[慧思]を出すことで,天台宗第2祖とされる。先に姚秦の羅什が訳出した竜樹の著作によって,禅観の実践につとめ,一心三観の理を悟って,その教理を集大成する。慧思を介して,天台[智顗](ちぎ)がこれを総合し,法華三昧を軸に,[天台宗]を開創する。…
※「一心三観」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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