県花県木(読み)けんかけんぼく

改訂新版 世界大百科事典 「県花県木」の意味・わかりやすい解説

県花・県木 (けんかけんぼく)

都道府県を代表する花,木として選定されたもの。県花は〈県の花〉ともいわれ,都道府では〈都花〉〈道花〉〈府花〉という。県木は〈県の木〉ともいわれる。

県花の選定は,1953年に行われた〈郷土の花〉選定運動に端を発している。同年2月,NHK,全日本観光連盟,日本交通公社,植物友の会が共催となって,〈郷土の花〉の選定が企画された。これは〈植物趣味と植物愛護の精神を目的とし,併せて地方文化並びに郷土愛高揚を図る〉ことを目的として呼びかけられたもので,文部農林(現,農林水産),運輸各省のほか,地方の関係諸団体が協賛した。選定にあたってはまず,都道府県単位に地方選定委員会がつくられ,(1)郷土の誇りとする花,(2)よく知られ愛されている花,(3)その地方の生活や歴史に関係の深い花,などの基準によって,各都道府県ごとにいくつかの候補が選定された。地方委員会からの報告を受けて,中央選定委員会が,これらの候補を検討し,整理のうえ決定したのが〈郷土の花〉である。〈郷土の花〉は翌54年3月22日(NHK放送記念日)に全国に発表された。この〈郷土の花〉選定に先だって,神奈川県(1951)や群馬県(1951)などではすでに,県で独自に〈県花〉が制定されており,これらの県ではこの県花が,〈郷土の花〉としても選定された。以後,一般には〈郷土の花〉=〈県花〉として受け取られるようになっていったが,自治体による扱いは一様ではなく,これ以後に独自に別のものを〈県花〉として制定しているところ(北海道,徳島など),〈郷土の花〉と同じものを正式に県花として制定しているところ(青森奈良など),〈郷土の花〉を慣行上容認しているところ(山形大分など),定めなしとしているところ(石川,大阪)など,さまざまである。したがって県によっては,県花のはっきりしないところもあり,混乱の生じている県もあるが,一般には,県が独自に制定しているところではその県花が,とくに定めのない県では〈郷土の花〉が県花として扱われている。

〈郷土の花〉の発表がきっかけとなって,1963年には,鳥獣保護連盟,日本野鳥の会などの呼びかけによる〈県鳥〉選定など,県ごとに象徴の選定が行われるようになった。このようななかで,65年,国土緑化運動の一環として,毎日新聞社が県木の選定を全国に呼びかけた。この県木選定運動は,万国博覧会記念,〈緑のニッポン全国運動〉の名で,国土推進委員会と全国知事会の協賛を得,さらに文部,農林,厚生,自治など各省の後援を得て進められ,同年末に選定,翌66年に発表された。県木には,スギ(6府県),アカマツ,イチョウ,ケヤキ,カエデなど,重複するものも多い。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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