石油の重質留分を熱分解(コーキング)して得られる固形の炭素を主成分とする製品で,燃料のほか電極その他の炭素材料としての用途がある。製法により幾種類かの石油コークスがあり,ディレード・コーキングdelayed cokingの製品は塊状,フルード・コーキング法fluid cokingの製品は粒状である。またコーキング法で得られたままのコークスは揮発分が多い(10%前後)ので生コークスgreen cokeと呼ばれる。この揮発分は生コークスを高温に加熱することによって除去できる。これを煆焼(かしよう)コークスcalcined cokeという。生コークスのおもな用途は,工場燃料,練炭やカーバイド製造用などである。また煆焼コークスのおもな用途は,アルミニウム製錬用黒鉛電極,溶接用炭素棒,炭素ブラシ,原子炉材その他の炭素材料である。炭素材料用のコークスは,化学組成,構造,物性(電気抵抗,耐衝撃性,熱膨張率など)上の要求から特別の製法が用いられる。
執筆者:冨永 博夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
石油の減圧または常圧蒸留残油を各種のコーキング法により490~640℃で熱分解すると、ナフサ、軽油などとともに得られるコークス。このようにして得られたものは生(なま)コークスとよばれ、比重約1.7の多孔質の固体であり、主成分は炭素であるが、揮発成分を約10%含む。生コークスは、燃料、鋳物用コークス材、製鉄用、カーバイド製造原料などに用いられる。生コークスを約1300℃で焼成し、揮発成分を除去したものは煆焼(かしょう)コークスとよばれ、比重は約2で、約99%が炭素であり、アルミニウム精錬用炭素電極、人造黒鉛の原料などに使われる。生コークス、煆焼コークスとも含有する硫黄(いおう)分、灰分の量が問題になる場合が多く、原油の選択や原料残油の脱硫、脱金属を行わなければならない場合が多い。1960年代以降のアルミニウムの需要増大に伴い、炭素電極の需要が増している。
[難波征太郎]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
通常の石炭系のコークスに対して,石油を原料として製造したものをいう.工業的にコーキング法によって製造され,その製品は灰分が少ない特徴があり,おもに電極材料に用いられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
…半成コークスは火つきがよく燃えやすい家庭用無煙炭として利用されたが,現在,石炭の低温乾留はほとんど行われていない。また,石油から得られるコークスは,とくに石油コークスと呼ばれる。以下ここでは石炭コークスについて述べる。…
※「石油コークス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、和歌山県串本町の民間発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げる。同社は契約から打ち上げまでの期間で世界最短を目指すとし、将来的には...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新