肥料公定規格では第1種複合肥料に分類され,肥料3要素のうち2成分以上を含むように肥料原料を機械的に混合した肥料をいう。混合に際し,なんらかの化学的処理を施さない点で化成肥料と区別され,単味肥料の単なる混合なので化成肥料より含有成分量が一般に少ない。一般に3要素合計の成分量で20~25%のものが多い。化成肥料の多くが粒状に成形されるが配合肥料は粉状である。配合の効果として,(1)速効性肥料と緩効性肥料の組合せで肥効速度の調節ができる,(2)肥料3要素が配合されているので施肥労力が少なくてすむ,(3)土壌や作物に合わせて配合できるので便利である,などがあげられる。
配合肥料は第2次大戦前は農家に広く親しまれ,1938-39年には硫安と過リン酸石灰を中心に配合したり,大豆かすや魚肥と無機肥料を配合したものなどで約100万tの消費があった。戦後は化成肥料の消費の伸びに押され,相対的に減少しているが,それでも年間約10万tが現在でも生産されている。その多くは有機質肥料と無機質肥料を混合した有機配合肥料で,野菜や果樹,タバコ,チャなどの生産に利用されている。有機質肥料と配合する無機質肥料には酸性肥料の硫安と過リン酸石灰が中心のもの(旧称,第1種配合肥料)と塩基性肥料の石灰窒素と溶成リン肥が中心のもの(旧称,第2種配合肥料)とがある。このような有機配合肥料も,有機質肥料の含有割合は少なく,無機質肥料が主体のものが多いので,無機質肥料に準じた施用が無難である。また配合されている原料肥料の性質や肥効,配合割合を考えて使用する必要がある。なお有機質肥料だけを混合したものはむかしは第3種配合肥料と呼んだが,現在は混合有機質肥料と称し,別に規格を設けている。
執筆者:茅野 充男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
2種類以上の肥料を配合したもので、肥料の三要素である窒素、リン酸、カリ(カリウム)のうち2成分以上を含むものをいう。配合機で均一に混ぜたものと、シャベルを用いた手配合のものがある。大部分が有機質の肥料を原料としているが、マンガン、苦土(酸化マグネシウム)、ホウ素など微量元素を加えたものもある。配合肥料に類似のものに化成肥料があるが、これは配合肥料のように単に機械的に配合ないし混合したものではなく、化学的操作によって製造したものであり、配合肥料に比べ含有成分量が一般に高い。現在では両者は第一種複合肥料に統一され、明白な区別はなくなっている。配合肥料は、地方ごとの土壌の違いや作物の種類に応じて、各都道府県で標準配合肥料として適切な基準が決められており、この基準に基づいて製造されるのが特徴で、配合の仕方によって、肥効の調節、施肥労力の軽減、均一な散布ができる。したがって数多くの銘柄があり、一銘柄当りの生産量は少ない。化成肥料が稲作中心であるのに対し、配合肥料は野菜用、果樹用、園芸用などが主体となっている。粒状肥料を2種類以上配合した肥料を、粒状配合肥料またはバルクブレンド肥料(BB肥料)という。その特長は原料肥料はすべて粒状肥料を使うので、取扱いが容易なことである。
[小山雄生]
『伊達昇・塩崎尚郎編著『肥料便覧』第5版(1997・農山漁村文化協会)』▽『肥料協会新聞部編『肥料年鑑』各年版(肥料協会)』
化学的操作を用いずに,2種類以上の単肥を混合または物理的に加工した多成分肥料.したがって,N,PおよびK成分の二つ以上を含む.化学的性質を考えて適当な配合の組合せを決める.肥料成分間(酸性肥料と塩基性肥料の間など)で化学反応を起こして有効成分が逃げるか,不溶性になり肥効性の乏しいものになる場合がある.たとえば,硫安と石灰では脱アンモニアが起こる.また,硫安や過リン酸石灰は,石灰,草木灰,石灰窒素などの塩基性肥料と混合すると不溶性となる.吸湿性肥料どうしの調合にも注意を要する.普通配合肥料(酸性または塩基性肥料どうしを配合,硫安,過リン酸石灰,カリウム塩),尿素配合肥料(尿素),塩基性配合肥料(石灰窒素,溶性リン肥,塩化カリウム),固形配合肥料(硫安,過リン酸石灰,カリウム塩を泥灰で固結)などがある.[別用語参照]化成肥料
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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