硫化バリウム(読み)りゅうかばりうむ(英語表記)barium sulfide

日本大百科全書(ニッポニカ) 「硫化バリウム」の意味・わかりやすい解説

硫化バリウム
りゅうかばりうむ
barium sulfide

バリウム硫黄(いおう)の化合物。通常、バリウムの一硫化物のことをいい、他はポリ硫化バリウムとよばれる。重晶石硫酸バリウム)を600~800℃で炭素で還元することによって製造される。実験室的には、加熱した炭酸バリウム硫化水素水素の等量混合ガスを通ずる方法がある。白色の結晶性粉末であるが、市販品は灰色を帯びる。空気中では酸化され、黄色からオレンジ色に変わる。湿気中で硫化水素を発生する。水には溶けないが、徐々に加水分解を受け、硫化水素バリウムと水酸化バリウムを生成する。不純物を含むものはリン光を発する。脱毛作用がある。硫化亜鉛と混合して白色の顔料リトポン)を製造するのに用いられる。

[鳥居泰男]


硫化バリウム(データノート)
りゅうかばりうむでーたのーと

硫化バリウム
  BaS
 式量  169.4
 融点  1200℃
 沸点  ―
 比重  4.25(測定温度15℃)
 結晶系 立方

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「硫化バリウム」の意味・わかりやすい解説

硫化バリウム
りゅうかバリウム
barium sulfide

化学式 BaS 。無色立方晶系結晶。融点 2200℃以上,比重 4.25,有毒。冷水に微溶,塩化アンモニウム溶液に可溶,酸によく溶け硫化水素を発生する。空気中では酸化されて黄色を呈し,湿気により硫化水素を発生する。脱毛剤,リトポン製造,ゴムの加硫,硫化水素の発生用試薬などとして用いられる。黒色硫化バリウムは,硫酸バリウム鉱と木炭の混合物を強熱して得られる粗製品で,硫化バリウムの含有量は 60~70%である。バリウム塩の製造原料として重要である。

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