硫酸ニッケル(読み)りゅうさんにっける(英語表記)nickel sulfate

日本大百科全書(ニッポニカ) 「硫酸ニッケル」の意味・わかりやすい解説

硫酸ニッケル
りゅうさんにっける
nickel sulfate

ニッケルの硫酸塩。無水和物の化学式NiSO4式量154.8。一、二、四、六および七水和物が知られている。七水和物は天然にモレノサイトとして産出するが、ニッケル、酸化ニッケル(Ⅱ)、水酸化ニッケル(Ⅱ)あるいは炭酸ニッケルを希硫酸に溶かし、室温蒸発濃縮すれば、緑色の針状晶として得られる。空気中で風解して白色粉末となるが、水を加えると緑色に戻る。100℃で4分子、103.3℃で6分子、279.4℃ですべての水を失う。カリウムルビジウムセシウムアンモニウムタリウム(Ⅰ)の硫酸塩とタットン塩型の複塩MI2Ni(SO4)26H2Oをつくる。ニッケルめっき、水素添加触媒、媒染剤顔料の製造などに用いられる。

[鳥居泰男]


硫酸ニッケル(データノート)
りゅうさんにっけるでーたのーと

硫酸ニッケル
硫酸ニッケル(Ⅱ)七水和物
  NiSO4・7H2O
 式量  280.8
 融点  99℃
 沸点  ―
 比重  1.948(測定温度15℃)
 結晶系 斜方
 溶解度 117.8g/100g(水30℃)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「硫酸ニッケル」の意味・わかりやすい解説

硫酸ニッケル
りゅうさんニッケル
nickel sulfate

化学式 NiSO4無水塩は緑黄結晶 (立方晶系) 。加熱すると 840℃で分解する。水溶液を 31.5~53.3℃で蒸発させると,青緑結晶 (6水塩,正方晶系) となる。 53.3℃以上で蒸発させると緑色結晶 (6水塩,単斜晶系) となる。また,炭酸ニッケルの硫酸溶液を常温で蒸発させると,緑色針状晶 (7水塩,斜方晶系) が得られる。ニッケルメッキなどに使われる。

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