主として外海の沿岸の磯で,よく繁茂していた大型海藻類が枯死消失してしまい,無節・有節の石灰藻類が繁茂して一面に白くなってしまう現象をいう。この原因として大出水などによる海水の塩分の急激な低下,逆に塩分の高い沖合の水の接岸などが挙げられていたが,原因不明の場合も少なくなかった。いずれにしても一度この現象が起きると回復には10年単位の長期を要した。
最近の研究によれば,この原因としてウニ,アワビなど藻食性動物の過剰摂餌が示唆されている。北海道および東北地方沿岸にはコンブ類群落と石灰藻群落という二つの特徴的な植物群落が見られるが,アワビ,ウニ類の駆除,あるいはこれらが侵入できないようにしての海中造林実験では,石灰藻群落が過剰な摂餌圧力の結果であることをめいりょうに示した。したがって,藻食性動物の摂餌活動が磯焼けの起こる原因のすべてであるかどうかにはまだ問題が残るが,磯焼けが起きた後の回復を妨げる原因とはいえよう。
執筆者:清水 誠
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