京都の祇園祭の祭囃子。7月17日の山鉾(やまぼこ)の巡行に際して鉾の上で演奏される。今日みるような山鉾については、1500年(明応9)の山鉾再興まではさかのぼることができるが、囃子の歴史は不詳である。今日に伝わる囃子は「コンチキチン」の俗称で表されるように、鉦(かね)の響きに特徴があり、鉦が十数丁と、締(しめ)太鼓数個、笛(竜笛(りゅうてき)または能管(のうかん))十数本で編成されている。10基ある鉾ごとに独自の曲を30曲程度ずつ所有する。大別すると、奉納囃子、渡り囃子(四条河原町まで、緩テンポ)、戻り囃子(四条河原町以後、急テンポ)となる。なお、地方の祭囃子にも祇園囃子の名を冠したものがあり、また下座(げざ)音楽にもある。
[西角井正大]
…地域により特色があるが,主要楽器としては太鼓・篠笛(しのぶえ)・鉦(かね)などが用いられる。京都の祇園祭の祇園囃子や江戸の葛西(かさい)囃子,馬鹿囃子などはその代表的なものであり,とくに祇園囃子は歴史が古く,祭囃子としてほぼ全国に及んでいる。京都の祇園囃子は鉦・太鼓・笛(能管)によって演奏されるが,鉦がきわめて印象的で一口に〈コンチキチン〉と呼びあらわされており,笛は能管を用いる。…
※「祇園囃子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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