栗駒山(読み)クリコマヤマ

デジタル大辞泉 「栗駒山」の意味・読み・例文・類語

くりこま‐やま【栗駒山】

岩手・宮城・秋田の県境にある火山。標高1627メートル。湿原高山植物が多い。岩手県では須川すかわ岳、秋田県では大日おおひ岳とよぶ。

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精選版 日本国語大辞典 「栗駒山」の意味・読み・例文・類語

くりこま‐やま【栗駒山】

  1. 宮城・秋田・岩手の県境にそびえる火山。名称宮城県栗原地方の農民が、山上に現われる駒形の残雪を種まき目安としたことによる。コニーデ二重式。最高峰外輪山大日岳(一六二七メートル)。秋田県側では大日岳、岩手県側では須川岳と呼ばれる。

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日本歴史地名大系 「栗駒山」の解説

栗駒山
くりこまやま

県の最北部、宮城・岩手・秋田の三県にまたがるコニーデ型の休火山で、標高一六二七・七メートル。那須火山帯に属し、一帯は玉造たまつくり郡の鳴子なるこ温泉郷ほか栗原郡栗駒町のこま温泉などを含め、栗駒国定公園に指定されている。古くから駒形こまがた岳・駒ヶ岳といい、また最高峰を大日だいにち岳とよびわけ、北辺の烏帽子えぼし山群を須川すかわ岳とも称した。山頂を囲む形で、東に東栗駒山(一四三四・一メートル)、北東に笊森ざるがもり(一三五五・八メートル)、北西にまぐさ(一四二四メートル)、南に虚空蔵こくぞう(一四〇九メートル)の峰々がそびえる。これらは当山の火山活動によってなったもので、ほかに爆裂火口痕、地熱を残すけ山、怪異な岩塊群など火山活動を伝える地相が残る。駒形の名は栗原地方の農民が当山に駒の形の残雪が現れるのを、種蒔の目安にしたことから生じたという。天明期(一七八一―八九)菅江真澄は栗駒山を望見し、優れたる岳なりといい、「みな月になりても雪きゆることなく、遠くこれを見れば、まだらにして、ぶち駒の形のごとく、首尾脚蹄もまた、かねそなはれり、あるは立ち馬、あるは伏し馬のやうにあらはる」と記している(「かすむ駒形」続篇)


栗駒山
くりこまやま

県の南東隅にかかり、岩手・宮城両県にまたがるコニーデ式の休火山。那須なす火山帯に属す。標高一六二七・七メートル。一帯は栗駒国定公園に指定され、秋田県側の北西麓には須川すかわ湖・竜泉りゆうせんはら、北約二キロの岩手県側には須川温泉がある。

駒形岳ともよばれ、山頂の残雪の姿を奔馬にみたてたものという。また大日だいにち岳・須川(酢川岳)の名がある。往古より山岳宗教の対象となり、駒形神(須川神)として崇められた。

文徳実録」仁寿元年(八五一)九月二日条に「進陸奥国駒形神階、加正五位下」とあり、「三代実録」貞観四年(八六二)六月一八日条には「授陸奥国正五位下駒形神従四位下」と位階の昇進が記される。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「栗駒山」の意味・わかりやすい解説

栗駒山
くりこまやま

宮城県岩手県秋田県の県境にそびえる二重式(→複式火山)の成層火山活火山で,常時観測火山。岩手県では須川岳,秋田県では大日岳ともいう。標高 1626m。秋田県側で皆瀬川,岩手県側で磐井川,宮城県側で一迫川,二迫川,三迫川の水源地。最高点は外輪山の大日岳で,その北方に 1100mの中央火口丘剣岳がある。1944年に小規模な噴火があり,昭和湖が形成された。山地にはホオ,シラカバブナが茂り,大部分は国有林。頂上から南西 1kmに駒形根神社(祭神は日本武尊)がある。JR東北本線の一ノ関,石越駅が登山口であるが,直接は岩手県側の須川温泉または宮城県側の駒ノ湯温泉から登る。山麓には栗駒五湯,須川温泉など温泉が多く,1968年栗駒国定公園に指定。2008年の岩手・宮城内陸地震では大規模な地すべりが発生し,駒ノ湯温泉では土石流に巻き込まれた死者が出た。

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改訂新版 世界大百科事典 「栗駒山」の意味・わかりやすい解説

栗駒山 (くりこまやま)

宮城,岩手,秋田の3県にまたがる成層火山。標高1627m。栗駒山の名は宮城県側の呼称で,山の残雪が駒の形となった時に苗代に種をまく習慣に由来している。岩手県側では須川岳(酸川岳)と呼ぶが,これはこの山を水源とする磐井川に多量の酸性水が流入しているからであり,他方秋田県側ではこの山から朝日が昇ることから大日(だいにち)岳と呼んでいる。山体は両輝石安山岩の溶岩と砕屑物(さいせつぶつ)からなり,山頂の北西側には比高300mほどの馬蹄形の外輪山をもち,その中に今も硫気を吐く中央火口丘の剣岳がある。山腹はブナ,ホオの原生林に覆われており,山中には世界谷地,名残ヶ原,竜泉ヶ原などの湿地があって,湿原性高山植物の種類の豊かさは有名である。一帯は栗駒国定公園に指定され,北西の岩手県側の中腹,標高1100m付近には国民温泉の須川温泉,南の宮城県側山麓には栗駒五湯があり,ともに古くから湯治場として有名である。
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百科事典マイペディア 「栗駒山」の意味・わかりやすい解説

栗駒山【くりこまやま】

岩手・宮城・秋田県境に位置する那須火山列中の二重式成層火山。標高1626m。須川岳とも。安山岩からなり,北側に火口丘剣山があり,気象庁が常時観測している活火山。森林におおわれ,特にホオノキが多く,山頂付近には高山植物が生育。古くより駒形岳などと称されていたらしく,また〈みちのくのくりこまやま〉として《古今六帖》に詠まれている。栗駒国定公園に属し山麓に栗駒五湯須川温泉などがある。
→関連項目奥羽山脈栗駒[町]

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「栗駒山」の意味・わかりやすい解説

栗駒山
くりこまやま

秋田、岩手、宮城の3県にまたがる火山。標高1626メートル。山名は、宮城県栗原地方の農民が、この山に駒(馬)の形の残雪が現れるのを種まきの目安としたことから生じたと伝えられる。岩手県側では須川岳、秋田県側では大日岳(だいにちだけ)とよんでいる。外輪山、寄生火山、中央火口丘からなり、中央火口丘の剣岳(つるぎだけ)はいまも硫気を吐いている。東西奥羽の分水界で、岩手側の磐井(いわい)川、宮城側の一迫(いちはさま)・二迫・三迫川、秋田側の成瀬(なるせ)・皆瀬(みなせ)川の源流をなす。山腹や山麓(さんろく)には須川温泉など多くの温泉があり、ブナの原生林や高山植物も多く、栗駒国定公園に指定されている。登山ルートは多いが、須川温泉からは約1時間30分で頂上へ達する。

[宮崎禮次郎]


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[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション 「栗駒山」の解説

くりこまやま【栗駒山】

宮城の日本酒。酒名は、栗駒山の麓に蔵があることにちなみ命名。大吟醸酒純米吟醸酒、純米酒などがある。平成13、17、20~25年度全国新酒鑑評会で金賞受賞。原料米は蔵の華、ひとめぼれ、ササニシキなど。仕込み水は栗駒山系三迫川の伏流水。蔵元の「千田酒造」は大正9年(1920)創業。所在地は栗原市栗駒中野北畑中。

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デジタル大辞泉プラス 「栗駒山」の解説

栗駒山

宮城県、千田酒造株式会社の製造する日本酒。全国新酒鑑評会で金賞の受賞歴がある。

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世界大百科事典(旧版)内の栗駒山の言及

【栗隈】より

…また栗隈県の名も見られ,この地方の豪族が早くから大和朝廷の支配下に入って開発を担当したらしい。平安時代初期には遊猟地として栗隈(前)野の名が見え,以後も付近一帯の丘陵の栗駒山が戦乱での争奪対象地としてしばしば文献に記されている。いま宇治市の神明神社は栗子天神とも呼ばれ,古代栗隈の故地であろうと思われる。…

※「栗駒山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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