県の最北部、宮城・岩手・秋田の三県にまたがるコニーデ型の休火山で、標高一六二七・七メートル。那須火山帯に属し、一帯は
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宮城,岩手,秋田の3県にまたがる成層火山。標高1627m。栗駒山の名は宮城県側の呼称で,山の残雪が駒の形となった時に苗代に種をまく習慣に由来している。岩手県側では須川岳(酸川岳)と呼ぶが,これはこの山を水源とする磐井川に多量の酸性水が流入しているからであり,他方秋田県側ではこの山から朝日が昇ることから大日(だいにち)岳と呼んでいる。山体は両輝石安山岩の溶岩と砕屑物(さいせつぶつ)からなり,山頂の北西側には比高300mほどの馬蹄形の外輪山をもち,その中に今も硫気を吐く中央火口丘の剣岳がある。山腹はブナ,ホオの原生林に覆われており,山中には世界谷地,名残ヶ原,竜泉ヶ原などの湿地があって,湿原性高山植物の種類の豊かさは有名である。一帯は栗駒国定公園に指定され,北西の岩手県側の中腹,標高1100m付近には国民温泉の須川温泉,南の宮城県側山麓には栗駒五湯があり,ともに古くから湯治場として有名である。
執筆者:水野 裕
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秋田、岩手、宮城の3県にまたがる火山。標高1626メートル。山名は、宮城県栗原地方の農民が、この山に駒(馬)の形の残雪が現れるのを種まきの目安としたことから生じたと伝えられる。岩手県側では須川岳、秋田県側では大日岳(だいにちだけ)とよんでいる。外輪山、寄生火山、中央火口丘からなり、中央火口丘の剣岳(つるぎだけ)はいまも硫気を吐いている。東西奥羽の分水界で、岩手側の磐井(いわい)川、宮城側の一迫(いちはさま)・二迫・三迫川、秋田側の成瀬(なるせ)・皆瀬(みなせ)川の源流をなす。山腹や山麓(さんろく)には須川温泉など多くの温泉があり、ブナの原生林や高山植物も多く、栗駒国定公園に指定されている。登山ルートは多いが、須川温泉からは約1時間30分で頂上へ達する。
[宮崎禮次郎]
…また栗隈県の名も見られ,この地方の豪族が早くから大和朝廷の支配下に入って開発を担当したらしい。平安時代初期には遊猟地として栗隈(前)野の名が見え,以後も付近一帯の丘陵の栗駒山が戦乱での争奪対象地としてしばしば文献に記されている。いま宇治市の神明神社は栗子天神とも呼ばれ,古代栗隈の故地であろうと思われる。…
※「栗駒山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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