移植コーディネーター(読み)いしょくコーディネーター

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

移植コーディネーター
いしょくコーディネーター

臓器移植が円滑に行なわれるよう,臓器提供者家族や患者の相談に乗るなど調整役を果たす人。おもな仕事は脳死者の家族に対する臓器提供の要請,救急病院への協力要請,移植についての患者への説明,移植手術が実施される際の提供病院と移植病院の連絡調整役など。移植医療が盛んなアメリカ合衆国などで発達し,日本でも 1990年に,腎臓移植がすみやかに行なわれるように全国の地方腎移植センターに移植推進員として配置された。臓器移植法が 1997年から施行されたのに伴い,腎臓だけでなくあらゆる臓器が対象となった。医師免許は必ずしも必要としない。

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移植コーディネーター【いしょくコーディネーター】

臓器移植以外に病気を治す手段がなく移植を待ち望んでいる患者(被提供者=レシピエント)と,臓器を提供したいと希望する人(ドナー。生体臓器提供者も含む)との間に立ち,スムーズな移植実現のための橋渡し役を担う専門家。 移植コーディネーターの仕事は,ドナーコーディネーターと,レシピエントコーディネーターの2つに大別される。 ドナーコーディネーターは移植臓器の獲得を目的に働くもので,具体的には,ドナーの確保,ドナーの家族との面談,医学的な適応の調査と管理,臓器摘出計画の作成,摘出記録の作成,臓器の搬送,移植後の経過報告,講演会やドナーカード(臓器提供意思表示カード)の普及などの移植医療の普及啓蒙活動などを行う。 レシピエントコーディネーターは移植患者の手続きを中心に働くもので,移植希望者への説明や登録手続き,移植希望者への生活指導,主治医や家族との調整,手術説明,術後の管理指導,移植患者のデータ管理,退院後の指導とドナーコーディネーターとの連絡などを行う。 現在日本では,移植コーディネーターというと,一般にドナーコーディネーターを指すことが多い。まだまだ臓器提供者が少ないため,レシピエントコーディネーターの仕事は,移植医や看護婦,ケースワーカーなどが代行するケースが多いためである。 なお,1997年6月の〈臓器移植法〉の成立(施行は同年10月)によって,それまで心臓停止後の摘出臓器しか認められていなかった移植が脳死下でも認められるようになったが,脳死下での移植には本人および家族の同意が必要との条件が課せられたため,脳死と判定された人の家族の同意が移植の成否の鍵を握ることにもなり,移植コーディネーターに寄せられる期待がますます高まることになった。1999年2月,日本で初の脳死下での臓器提供が行われた。 年間2万件もの移植が行われる米国には約2000人のコーディネーターがいるが,臓器不足が深刻化しており,ドナーの掘起こしおよび啓発活動が最大の課題となっている。日本でも適切なドナーが現れないために移植ができず,欧米での移植を希望して渡航する例も多い。これが欧米での反発をかうケースもあり,ドナー登録者の確保が急務である。 日本では職種としての資格制度はまだ確立されていないが,厚生省の通達に基づき,社団法人〈日本臓器移植ネットワーク(母体は日本腎臓移植ネットワーク)〉が実施する研修を受け,同ネットワークに所属しなければならない。現在,各都道府県に委嘱されているコーディネーターは約50人,大半は医療従事者が兼務している。腎臓だけでなく,心臓,肝臓,肺などあらゆる臓器に対応できるコーディネーターの育成も不可欠である。→ソーシャル・ワーカー脳死判定基準
→関連項目ボーンバンク

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